▼書籍のご案内-序文

『絵で見る経筋治療』

 
程 序
 
 私が『霊枢』『素問』を閲読するたびに強く思うのは,古代から9種の針法があるが,現代ではその多くが不完全な状態であるということだ。幸い,薜立功氏は温故知新の精神から『霊枢』『素問』の研究・読書を重ね,九針法の意義を唱え,長針や円針を規定し,また『中国経筋学』を著して,「解結針法」〔経絡の圧迫を弛緩させる針法〕に再び光りを当てた。天宝7載(748年)以降,経筋理論に中国伝統の精神を深く取り入れて海外に伝播させ,その理論を駆使してどのような頑固な痛みに対しても多くの効果をもたらしている。現在,経筋の研究は盛んになり,その研究者たちも優秀になってきている。その精華を汲み上げ糟粕を捨て去り,規範や基準を創造することを期待したい。
 そしていま,劉春山先生は中国医学の継承・発揚・整理・向上を目的として,『黄帝内経』の原書を掘り起こし,臨床実践を出発点として,縦軸を中医学の経筋学に,横軸を現代医学の解剖学として中医学と西洋医学を結合した『人体経筋地図』を著した。
 本書は図表が豊富で,理論と実践が融合している。学ぶ者にとっては「按図索駿」〔手がかりを頼りに駿馬を探す〕の基準となる。たいへん喜ばしいことであることを序文の言葉に代えたい。
 

中国工程院院士
中国針灸学会副会長
程辛農







呉 序
 
 本書は著者の20余年に及ぶ針灸・針刀・微創医療〔マイクロサポートサイエンティフィック〕・推拿の経験に,『黄帝内経』の理論を加えたものである。経筋と関係の深い「横絡」「筋結点」等に対する見方の突破をはかり,実践における体得から,経筋の循行と局所解剖の考えを提示している。特に称賛に価するのは著者が経筋理論と,現代医学の神経・血管・筋肉・骨格などの関連知識を密接に融合し,伝統的な経筋理論を視覚的・直感的・具体的・科学的なものへと引きあげていることである。
 本書の著作方法は斬新で,図や説明文に重きをおいている。図が豊富であるだけでなく,言葉によって図を解説しているため言葉と図が相互に影響しあい,抽象的な経筋理論を具体的で生き生きとした表現方法で描写しており,読者にとって理解しやすいものとなっている。
 なお本書は,中医針灸・推拿・針刀・微創医療・骨傷などの専門家や,中医臨床学科の学習,参考に活用できるだけでなく,さらに多くの中医愛好者にとっても臨床的に価値ある一冊となっている。この本は実用的な辞典として収蔵すべきである。
 この本の出版によって,中医針灸学における経筋病の臨床応用と研究にとって有益な一助になると信じている。
 

中国中医科学院教授,主任医師,博士生指導教員
中央保健会診療専門家
中国針灸学会経筋分会副主任委員
中国針灸学会針灸灸法分会副主任委員
呉中韓
丑年の冬,中国中医研究院