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『「証」の診方・治し方2 -実例によるトレーニングと解説-』この本の使い方



この本の使い方



 前書『「証」の診方・治し方 ―実例によるトレーニングと解説―』およびその続篇となる本書は,呈示された患者情報から自分で証を導いて処方・配穴を考え,その後解説を読むという流れで弁証論治のトレーニングを行うことをおもな目的としている。
 また,症例は実際の臨床例であり,初診から治癒までの経過が記されているため,弁証論治のトレーニング用としてだけでなく,症例集としての活用もできる。


 序章では,弁証論治のなかの特に「論治」の部分について,高橋楊子先生(湯液治療)と呉澤森先生(鍼灸治療)によるポイントが述べられている。弁証論治を行ううえでの基本となるものが示されているため,症例を解く前にぜひ一読してほしい。


 第1章から第6章は,部位別の症例とその解説である。便宜上,症例は章を分けて通し番号をつけているが,どこから読み進めてもよい。
 症例はそれぞれ最初の頁に弁証に必要な情報が示されている。次頁からは鍼灸および湯液の弁証論治解説部分になっているため,まずは頁をめくらずに自分で症例を分析し,弁証を立てることをおすすめしたい。続く解説部分では鍼灸・湯液2つの面からの治療法・考え方の解説がある。特に弁証については鍼灸・湯液の枠にとらわれず両方の解説を参考にできる。また,弁証過程において陥りやすい間違いなどが示されており,多くのヒントが詰まっている。


 それぞれの症例は以下のような構成になっている。
◆症例呈示―年齢・性別・主訴・既往歴・現病歴・現症・四診の結果など,証を導くために必要な患者情報の呈示。
◆治療へのアプローチ―呉先生(鍼灸)と高橋先生(湯液)による解説。まず症例を呈示した先生による解説があり,引き続き補完する形でもう一方の先生による解説がある。
弁証:弁証,治法,具体的な処方あるいは選穴・手技,解説など。
治療経過:実際の治療の経過説明。
症例分析:症例を分析する際の考え方や,チャート式の病因病機図,最後には「弁証のポイント」がある。
アドバイス:弁証する際に陥りやすい間違いの鑑別点や,実践的で臨床に役立つアドバイスなど。


*本書は,『中医臨床』の連載コーナー「弁証論治トレーニング」の一部を単行本化したものである。
 誌上では出題・読者回答・解説の形であったが,単行本化にあたって読者回答は割愛した。