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『[改訂版]中医基本用語辞典』序文

 
序文
 
 
 中国医薬学は,歴史の大河のなかを数千年にわたって航行してきた。その独特の理論体系と卓越した治療効果によって,現在にいたるまで世に輝かしい航跡を残している。そして,現代医学がきわめて発達している今日においても,医療保健活動の1つとして大きな役割を担っている。中国医薬学の導入は中国国内に留まらず,世界各国に広がり,世界中の人々に珍重され,中医学を学ぼうとする風潮は今まさに高まりつつある。
 私は30年余りにわたって,国内外で中医学の教学および臨床に携わってきた。その経験のなかで感じたのは,正確に中医学用語を理解することが,中医学を習得・運用する鍵であり,前提であるということである。そこで,伝統医学を広く発揚し,国内外の中医初学者の切実なる要望に応えるため,本書を出版すべく,中医学の教授および助教授・講師によって,『中医基本用語辞典』編集チームを結成した。
 編集過程では,まず使用頻度の高さを重視し,代表的な用語を抽出し,項目の選定を行った。解説文は可能な限り正確に,わかりやすくし,比喩や豊富な図表を用いている。さらに見出し項目に含まれる難解な字については簡単な解釈を加えるようにしている。また,特に互いに関連する項目の鑑別・比較には注意を払い,その相違点を明らかにし,理解の助けとしている。本書は,基礎理論の専門家や中医初学者である各国留学生の意見を何度も聴取し,内容を吟味したうえで脱稿したものである。より多くの中医愛好者および志ある中医初学者の,良き友・良き師になることを期待している。また,本書の至らざる点については,大いにご指摘・ご指導いただきたい。それにより,より良き改訂が行われることであろう。私は中医初学者が一心に研鑽し,深く臨床の実践に身を投じ,中医学の神髄に触れ,伝統医学にいっそうの輝きを与え,人類に貢献することを望んでいる。
 本書刊行の機を迎えて,編集チームの若き中医学者諸君,東洋学術出版社の山本社長,日本語訳に取り組んでくださった専門家諸氏に対しては,謹んでその艱難辛苦に深い謝意を表したい。
 

天津中医薬研究院附属医院 名誉院長
中国中医薬管理局重点学科学術 主任教授
高 金亮