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2006年08月 アーカイブ

2006年08月17日

郭子光主編 『日本漢方医学精華』のご紹介

『

今回の成都中医薬大学研修旅行では,中国でたいへん有名な老中医のお一人である郭子光先生にご指導いただく予定です。
郭子光先生は,日本の漢方医学に対する造詣の深い先生で,1990年に中国で出版された『日本漢方医学精華』(四川科学技術出版社)という本の主編者でもいらっしゃいます。

この本は日本漢方の典籍・近代の論文を集めてその精華をまとめ上げ,日本漢方のもつ内容およびその優れた点と中医学との相違点について,理論から臨床各科に分類して紹介しています。
編者の言葉として,郭先生は「中国では日本の漢方について紹介している出版物が少なく,それが私たちが中医こそ最も偉大だと思ってしまう原因である。学問に国境はなく,広く受け入れることができてこそさらに発展できるのだとの思いから,この本を世に出した」とおっしゃっています。

日中の学術交流において中心的な活動をなさっている郭先生と,今回の研修旅行参加者の先生方との間に,今回の研修でどんな交流が生まれるでしょうか。
また,傷寒論・中医各家学説・中医康復学などのお話もうかがえるかと思うと,とても楽しみです。

2006年08月31日

成都市における中医薬に関するアンケート調査の記事 

 中医は中国の誇る医療ですが,実際に現代人に中医がどう評価されているのか,また中医は疾病に対する治療効果のある医療として認識されているのか,中医療法はどの程度理解されているのかといった項目に関して,アンケート調査を行った結果を,四川省中医薬研究院中医医院・張毅氏が中国中医薬報(2006.08.21)に発表されています。その概要を以下にまとめます。

 アンケート調査は,20歳以上の成都市民1193人に対して行われました。有効回答1176人のうち,中医療法に関する理解についての質問では,「理解する」と回答した人の割合は中成薬で68.0%,中薬の煎じ薬で57.9%,鍼灸で40.9%,その他は中医外治薬,推拿,気功導引の順となり,中医のいかなる内容もすべて理解しなかった人は3.9%だった。その内訳は,中成薬30.7%,中薬の煎じ薬20.4%,そのほかは中薬外治法,推拿,中医食療,中薬の健康食品,鍼灸,薬浴,気功導引,中医美容の順となった。

中薬の治療効果に対する認識調査において,「非常に有効」は7.5%,「有効」は34.4%,「まあまあ」は36.1%,「あまり有効でない」および「無効」は1.5%,無回答が20.5%だった。
人々がなぜ中医治療を信頼し選択するのかについて,その理由を調査したところ,「副作用が小さい」が25.2%,「治療効果がよい」が23.4%,「病気を治すと同時に養生ができる」が20.8%,「治療費が安い」が22.4%だった。
その反対に,中医治療を選ばない人の理由を調査したところ,「煎じるのが面倒」が29.9%,「味が苦い」が16.8%,「その他」が12.6%,「衛生的でない」が6.8%,「治療効果が十分でない」が2.7%,「中医を理解していない」が3.3%,「中医を信頼できない」が0.5%だった。

この結果をふまえて,張氏は積極的な中医薬の知識の普及の必要性を訴えています。広く中医薬文化を宣伝し,中医薬による疾病予防・治療の理念を人々に浸透させて,中医薬を利用した疾病予防・治療および自己健康管理の意識と能力を養うことが重要であると述べています。
また中医普及における大きな問題点の1つとして,中薬の剤型と服用しにくさが中医の利用を大いに制約しており,また効力の発揮にも影響するため,その分野における研究・改善を急ぐべきであることも取り上げられています。
そして,最後に中医学の普及のためには,医者は中医学の知識を学ぶだけではなくて,より一層患者の信頼を得る努力をするべきであると強調しています。

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