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上海ではじめて消化器系癌に効く中成薬が登場

 開発までに20年かかり、あわせて50名あまりの医学や薬学の専門家、さらに上海市中医薬科学技術産業促進センターなどが研究に携わって開発された中成薬(いわゆる生薬を原料にした漢方薬)「楓茯合剤」がいよいよ製品化された。すでに上海市の健康保険にも適用されることが決まっている。いままで胃癌などの消化器系の癌に効くといわれる中成薬はまったくなく、今回の研究成果は中国が独自に知的財産権をもつ薬品として注目が集まっている。

 今回の中成薬は、いわゆる「以毒攻毒」の発想で処方が組まれていて、あわせて5種類の生薬が配合されている。研究に加わった上海市中医医院の王羲明教授は、これまで癌に効くとされた中成薬は主に健康食品的な使われ方が行われてきたが、今回の楓茯合剤は治療としての活用が期待されている。

 使われている5つの生薬のうち、毒性の強いのが大風子と木蹩子。大風子は中国の南方や東南アジアに生息する植物Hydnocarpus authelminitica Pier.の成熟した種。性質は辛・熱で大毒。効能は去風燥湿・攻毒殺虫で、中医学では昔から梅毒や麻風などの治療に使われた。一方で木蹩子は四川省や湖北省に生息するMomordica cochinchinensis Sprengの成熟した種で、性質は苦・微甘・有毒。中医学的効能は消腫消結攻毒。内服・外用で用いられ、主に中医外科の分野で使われることが多い。

 これら毒のある生薬を特殊な方法で毒を消し、さらにがん細胞を抑制する働きが確認された。専門家によれば、いずれも高度な技術をつかって成分を組み合わせているため、模倣品の製造は困難としている。

 これまでの研究では、胃癌・すい臓癌・肝臓癌・腸癌など消化器系の癌に対して一定の効果が認められ、すでに7年間にわたって上海・広州・浙江省・河南省で臨床研究も行われてきた。

 一般の抗がん剤などの治療と比較すると、楓茯合剤を服用した場合嘔吐や脱毛などの副作用が見られず安全性が高く、さらに抗がん剤に相当するか、もしくはそれを超えるがん細胞の抑制が確認されたとしている。

 これら、成果を踏まえて、癌治療の薬として上海市の健康保険適用になったことは画期的といえる。また、抗がん剤による治療と比べると、コストが安いのも特徴だ。この楓茯合剤を使ってがん患者を治療する場合、一般に2~3クールが必要だが、費用は1.8万元から2.7万元程度で、抗がん剤を使う場合の費用7~8万元と比較すると大幅に医療費が削減できる。

 新規医薬品の導入に慎重な上海市が真っ先に保険適用にしたことにより、今後の動きが楽しみだ。

  

出典:青年報  東方早報など 2006年9月21日 
担当:山之内 淳

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