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脈診を伝授するために、深センの試み

 2006年5月に中国政府が主導する医師の継続教育プロジェクトとして、「名中医脈診心法研習班」が深セン市衛生局と深セン市中医院主催で行われた。

 最近、中国の一部の中医学では脈診を疎かにする傾向が見られ、また若い医師に脈診の重要性を再認識してもらうために、広東省在住の老中医、鄧鉄涛教授と姚梅齢医師が提唱して行われた。

 この学習班では主に、中医学の基礎である脈診の応用をおさらいし、実践に使ってもらうことを目的としている。とくに『傷寒論』では、「平脈弁証」が広く用いられており、脈診のレベルを高めると、中医の弁証力を高めることができる。

 中医師の家系で、第15代目となる姚梅齢医師は、家に伝わる脈診に関わる貴重な経験と、自身の臨床経験を受講者たちに話した。

 『中華脈診的奥秘』を書いた徐迪華教授も、80歳の高齢にも関わらず、江蘇省から深センにやってきて、深センの医師たちに経験を伝授した。

 この「名中医脈診心法研習班」は5月の連休に開催されたのにも関わらず、貴重な講義を聴くために広東省中医院でSARS治療で活躍した楊志敏副院長などのほか、香港からも多数の医師が訪れ、会場は超満員状態となった。

 この講座の期間中、参加した医師の家族が偶然にも高熱と下痢でICUに運び込まれ、人工呼吸器を取り付けるなどの重篤な状態となった。言葉をしゃべることができないこの患者に対して、姚梅齢医師は脈診をして、中薬を処方、高熱が見事に下がり、実際の即効性を目にした参加者は驚いたという。

 中医学の革新とも言える脈診の勉強会は、医療関係者だけでなく香港、深センのマスコミにも登場し、『香港商報』や『深セン晩報』などにも大きく記事が掲載された。

 現在、中国の中医大学では脈診を教える時間が20時間ほどしかなく、内容も教科書のことが中心で、学生たちの間でも脈診離れが心配されている。

 

出典:中国中医薬報 2006年5月18日 
担当:山之内 淳


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