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武術小説に登場する「還魂湯」、果たしてその正体は? 

 少林寺が寺に伝わる秘伝の方剤を公開したことに関して、中国のメデイアではすこし大きな波紋を呼んでいる。それは、今まで武術小説に沢山記載されいた秘伝の方剤が実際に存在することが明らかになり、その功能の真相が解明されつつあるからだ。たとえば武術小説の中でその神業的な効果があるといわれていた「還魂湯」や「大力金剛丸」などがそうだ。ところが実際は「還魂湯」は中暑を治療する方剤、「大力金剛丸」は外傷や打ち身を治療する方剤であったようだ。
 方剤学を勉強された方ならご存知の「行軍散」なども今回公開された処方の中に記載があった。2000年前の故事は有名だ。炎天下のときに行軍しなければならなかった当時の兵隊が、熱中症などいわゆる「中暑」で倒れるたときに使ったものだ。資料上では。三国志の時代に、魏と蜀が戦争をしていた。蜀軍は暑い天気の中での行軍を余儀なくされて、中暑で倒れる兵士が続出した。これでは兵力の低下を免れない。そこで蜀の軍師、諸葛亮孔明は多数の医学書を研究して、内服と外用が可能でさらに携帯に便利な処方を作り出した。その当時の文書の記載によれば、中暑で倒れた兵士の鼻腔に粉をかけると、症状がみるみる改善したという。その後、この処方は軍医の間で使われるようになり、暑さを伴う行軍の際には必携の処方となった。名前も「武候行軍散」と呼ばれ、処方が敵方の魏にも伝わり、魏の国では「諸葛行軍散」とも呼ばれるようになったというようなエピソードが残っている。少林寺に伝わる秘方には「中暑になると即、醒める。」と記載があり、中身は薄荷脳一分・柿霜三分・枳殻一両・安息香一両・陳皮五分・製半夏、牛黄、広木香が各三分、これらを粉末にしてビンに保存し、服用時は1回一分を服用する、となっている。
 「大力金剛丸」なども武術小説にはよく出てくる方剤だ。武術小説では外傷や打ち身のときに、体内の元気を増幅させ、傷ついた経絡と経穴を回復させるとあるが、実際には現代でもよく使われる雲南白薬や三七粉などの作用と似ている。 

出典:新聞晩報 2004年8月2日 より整理 
担当:藤田 康介


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