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竜胆瀉肝丸が原因?北京の患者が同仁堂に賠償金276万元の訴訟請求 

 中国で最近大きな問題になりつつある竜胆瀉肝丸や甘露消毒飲などの腎臓への影響で、現在では規制が強化されているものの、規制強化前に服用した患者で、腎臓疾患になり、尿毒症になったケースが少なくない。今回の北京でのケースは、この患者は以前は調理師で、もともとは健康で体に問題がなかった。しかし、調理師という職業柄、毎日火に接することが多く、そんな関係もあってか、1998年に眩暈や耳鳴りを訴えて、職場の病院で診察を受けた。その結果、その当時北京同仁堂中薬二廠で生産された竜胆瀉肝丸を処方されて服用、とくに2000年に入って、いわゆる「上火」と呼ばれる症状が頻繁に起こったため、竜胆瀉肝丸を140袋以上服用した。ところが2001年4月に、腰痛と尿に沫が増え、悪心や全身の疲れを訴え、症状が悪化、病院で診察を受けたところ、慢性間質性腎炎と診断された。2002年には病状がさらに悪化し、尿毒症と診断され、透析を開始したものの、現在は自立した生活を行えないでいる。そのため、北京同仁堂へ賠償を持ちかけたが、拒否され、北京市第二中級人民法院に北京同仁堂(集団)有限責任公司とその傘下にある北京中薬二廠に対して、276万元(約3600万円相当)の損害賠償請求を行った。
 以前に発売されていた竜胆瀉肝丸には「関木通」が含まれていて、この関木通にあるアリストロキア酸が腎臓に障害を与えるという報道は中国では1964年には報道があったものの、医学界では重視されていなかった。1998年にも南京軍区総医院にて関木通が慢性的な腎臓障害を起こすという症例が発表される。現在では、すでに動物実験により関木通が腎臓障害を起こすことが証明されており、中国の国家食品薬品監督管理局も2003年4月に通知を発表し、関木通を薬用としてつかう生薬のリストからはずしている。
 このケースの場合、原告側は被告側に対して竜胆瀉肝丸の中成薬の説明に、警告や禁忌が書かれておらず、薬の回収作業も行われなかったとしている。 

出典:東方早報 2004年7月28日 
担当:山之内 淳


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