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古代の医案から、清代のある医師の棗(ナツメ)の応用 

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 棗は最近の薬膳ブームでよく使われる食材のひとつだが、中医学でもよく出てくる清代の名医王旭高(1798年-1862年)は「退思居士」と呼ばれた。この王旭高が棗を使った処方で、幼年期の子供の咳を治療している。 医案によると、この子供は体は痩せていて顔色は黄色で、昼間は咳が激しい。夜になると寝ていてもゼーゼーと音が聞こえてくるという。こういう症状がつづいてかれこれ半年、しかしこの幼児は苦い薬を飲むのが嫌らしい。王旭高は、この幼児を脾虚でかつ湿熱痰蒸が肺を妨げていると弁証し、子供が薬を飲むのを嫌がるところから、棗(ナツメ)を使って治療することにした。まず、人参・茯苓・白朮・甘草・二陳・蒼朮・厚朴・川貝・榧子を粉にする。そこに棗100枚の種を取り、先ほどの生薬の粉末を棗の中にひとつひとつ詰め込む。そして紐で中身の生薬粉が出ないように棗を縛り、さらに葶藶子30グラムとともに棗を煮込む。もちろん棗が煮崩れるまでに、柔らかくなる段階で取り出し、乾燥させる。患者の幼児がお腹がすくと毎日5-6枚の棗を食べさせてあげると、咳も収まったという。
 棗自体は、ほろ甘く中華料理には前菜として欠かせない食べもののひとつだ。このように棗を応用した医者は、古代にもよく見られ、元代の医学者葛可久も、虚労を治療するために、「白鳳膏」を作ったが、これは棗の種をとったあとに、中に参苓白朮散をいれ、さらに鴨の腹中に入れて、お酒とともに焼いて食べるという料理を紹介している。こうすると生薬の苦味も取れて、おいしくいただけるという、一種の「医食同源」となるわけだ。
 中医薬の味が苦い、というのは古代からの問題で、これをいかにしておいしく服用できるか、というのはずっと研究が続けられている。写真は中国で各地のスーパーで売られている棗。 

出典:上海中医薬報より抜粋 

担当:山之内淳


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