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中医古典を知らない中医大学のインターン医師たち 

 中国の中医薬大学の学生たちが『黄帝内経』、『金匱要略』『傷寒論』や『温病学』を読まなくなったといわれて久しいが、実際に臨床の現場でも影響が出始めているようだ。

 上海中医薬大学付属竜華医院は1906年に開設された中国で最も古い中医医院のひとつでもある。この病院にインターンとして研修にきている若い医師たちに、古文トレーニングのために中医学の「経典」のテストを行ってるが、最近行ったテストで半数近くが不合格となった。
 こういった現象に対して、曙光病院の蔡健副委員長は心を痛めている。「あと、20年もすれば、中医学の伝統を引き継ぐ貢献者がいなくなるのでは?」という懸念も出始めている。

 現在の中国の中医学は、大きく分けて現代化された中医学と伝統中医学の2種類に分けられる。西洋医学と併用した現代化された中医学というのは、現在中国の主流となっているが、一方で、伝統中医学が臨床で使われる率がここ数年のあいだでますます低くなっている。そのため、大学生の間でも経典とよばれる中医学の古典を読む人が少なくなってきているのだ。

 さらに、現在の試験の多くには「経典」など古典の内容が多くなく、むしろ英語やコンピューターの勉強に時間を割くようになってしまう。さらに、病院に就職後も、西洋医学の技術修得に忙しくなり、とてもゆっくりと経典を勉強する時間がない。

 現在、中国には2800箇所の中医病院があるが、結局その殆どはいわゆる「中西医結合医院」であり、純粋な中医病院は殆ど存在しないといっても過言ではない。また、全国520万人いる中国の医療関係者のうち、中医学にかかわっている人は27万人程度。10分の一にも満たないのである。

 そんな現実を打開しようと、曙光病院では中医学を90%以上使わなければならない「伝統中医診療中心」を設立した。また、2002年より純中医の医師を育てるプロジェクトも始動している。

 中医学の伝統を継承する必要性が、やっと中国でも着目されはじめたようだ。

  

出典:青年報 
担当:山之内 淳


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