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最新調査でも明らかになった冬虫夏草の危機

 2007年6月~7月にかけて、中国科学院西双版納熱帯植物園が行ったチベット高原エリアの冬虫夏草の生育調査で、冬虫夏草が危機的な状態にあることが改めて浮き彫りになった。
 冬虫夏草は、海抜4200メートルから5400メートルの高原地帯に生息し、中医学のなかでも高価な生薬として重宝されている。 今回の調査は、チベット・青海・四川・甘粛・雲南の各エリアで行われ、25年前の冬虫夏草の調査と比較して、その大部分で25年前の産量の10%にも満たないことが分かったほか、全体の40%のエリアで数年間にわたって冬虫夏草が全く姿を見せていないことも分かった。

 調査に参加した中国科学院西双版納熱帯植物園の楊大栄研究員によると、最近では、冬虫夏草の大きさも見極めずに、乱獲する傾向が続いており、人為的な影響が大きいとしている。

 こういった冬虫夏草の現状をうけて、市場では冬虫夏草の値段が急騰している。年間2~3トンが取引される広西では、2007年1月に1キロあたり7万1000元で取引されていた冬虫夏草が、この夏には1キロあたり17万元で取引されており、2倍以上の上昇となっている。一方で、取引量は年間15%の速度で減少している。

 背景には、経済的に豊かになった中国人が買う量が増えたほかにも、海外でも健康ブームで冬虫夏草の需要が高まっていることと関係があるとしている。また、海抜2800メートル以上のエリアでは、いったん自然環境が破壊されると、再生するのに非常に時間がかかり、地元政府も冬虫夏草の採取に制限を加えているのも影響している。

 今後しばらく、冬虫夏草の高騰は続くものとみられている。(2007年8月記 中国中医薬報 山之内 淳

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