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生薬の機械煎じの是非

 生薬による治療で患者がもっとも受け入れ難いのが、やはり生薬を煎じるという行為だろう。特に、夏場に生薬を煎じることは、ここ中医学の本場中国でも患者に敬遠されている。
 そこで、広く受け入れ始めているのが「代煎」という生薬を病院や薬局が代わりに煎じるというサービスだ。大抵の中医病院や薬局は大きな煎じる機械をもっているので、大量に生薬を煎じることが可能だ。しかし、中国人の間ではこの機械煎じの是非について異論が多い。
 生薬を煎じるには、生薬の種類によって、「先煎」・「後下」・「包煎」などのルールがある。決して、すべての生薬を一気に放り込んでOKというわけではない。また、患者によっては濃い目にする必要があったり、さらに火加減も大切だ。しかし、現在中国の機械煎じに対しては、業界統一の基準が無く、市民の間でも自分で煎じる方が確実ではないか?という意見が根強い。
 ある中医病院の生薬薬局に勤める薬剤師の話によると、中医薬局では一般に患者に処方された1週間~2週間分の生薬をすべて圧力鍋に入れ、そこに相応量の水をいれて煎じる。しかし、機械煎じの場合、生薬をいれる順序は一般的に無視されている。とくに、薄荷や沈香など芳香類の生薬に関しては、後の方に生薬をいれる必要があるのに、機械煎じの場合はそれができないという。ただ、機械煎じの場合、圧力鍋で高圧で煎じるので、有効成分が逃げてしまうことは少ないと考えられている。
 現在、中国でもまだこの方面の研究はあまり行われていない。果たして、病院のように大鍋での機械煎じと、小さな鍋で煎じる方法とではどちらが効果的なのか、今後の研究が待たれる。(2007年9月記 山之内 淳

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