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針麻酔50周年記念座談会が上海で行われる

 1959年9月5日、中国で初めての針麻酔が甲状腺手術で使われ、今年でちょうど50周年となる。これを記念して、復旦大学医学院、仁済医院、上海中医薬大学、上海市中医文献館、上海市針灸経絡研究所、上海市気功研究所、上海市中医医院などの専門家が集って、当時を偲ぶ座談会が上海で行われた。
 折しも1959年には毛沢東主席が「中国の伝統医学は偉大な宝庫である。努力してその業績を掘り出し、これからも発展させていかなくてはならない。」とコメントを発表、これが針麻酔プロジェクトを始動させるきっかけになったともいわれている。

 針麻酔は、現代の中医学系の病院でも行われていて、日夜研究が進められている。2008年8月には上海中医薬大学附属曙光病院で、10歳の子供の先天性心臓病バイパス手術で、針麻酔が使われた。先天性心臓病は、中国で毎年15万人の新生児で発生しており、特に農村エリアでは、高額な手術費の負担が問題となっている。

今回の手術では針麻酔を導入したことで、心臓手術では欠かせない麻酔時での気管内挿管を行うことなく、さらに麻酔薬の使用量を通常の三分の一~五分の一程度に減らせ、手術後の併発症の発症も抑えることができた。その結果、入院費用も三分の一程度に減らせ、今回の患者に対しても約1万元(約16万円)の手術費用を節約できたとしている。四川省の農村から来た患者の医療費負担削減に大きく貢献した。

 針麻酔の研究を行っている上海中医薬大学附属曙光病院では、2006年下半期以降、10例の針麻酔による心臓手術を行っていて、患者最高齢者は72歳にもなる。今回、10歳の子供への症例で成功したことにより、さらに技術的な改良が進められることが期待されている。

針麻酔に関係する研究課題は、国家プロジェクトでもある「973課題」に取り込まれ、2500万元の研究予算がついている。特に、今後も体質的な問題や、経済的な困窮で麻酔が使えない患者に対して、もう一つの麻酔法の選択肢として実用化が進められることになろう。(2008年9月記 上海中医薬報など 山之内 淳

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