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まもなく「三九天」、中国の鍼灸科が忙しくなる時期

 冬至を前後して、中国の鍼灸科では患者数が増えてくる。中国では冬至以降を9日ごとに区切り、冬至から初めの9日間を一九天とし、その次の9日間を二九天、さらに続く9日間を三九天と呼んでいる。
 この三九天の期間中は、冬至を境にして陰気が盛んとなり、徐々に陽気が増えてくるものの、気候も寒くなってくるため、体の陽気が滞りやすく、気血の流れも悪くなる。さらに、中国では北方地方を中心に空気が乾燥してくるため、皮膚も乾燥し、寒気が体に籠もりやすくなる。
そこで、この時期に、灸や貼敷などの方法でこれら寒気を散らし、アレルギー疾患や、慢性気管支炎、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性消化器疾患、リウマチなどの治療に役立てようといものだ。

「三九天」の治療は、夏場に行われる「三伏天」の鍼灸治療と対をなす治療ともいえる。夏場の「三伏天」の場合は、冬場の疾患予防の目的だが、「三九天」の場合は、春先以降の疾患予防が目的だ。

 この「三九天」の治療の主な効能は、温陽益気・健脾補腎益肺・去風散寒・通経活絡などが挙げられる。各病院によって、そのやり方は様々で、生薬をペースト状にして、湿布のように経穴に貼り付ける「貼敷」の方法や、「天灸」のように辛温作用のある生薬を粉にして、生姜・蜂蜜などと溶いて「薬餅」をつくり、それを経穴に貼って皮膚から吸収させる方法もある。こうした治療法は、明代の『本草綱目』や清代の『張氏医通』などにも紹介されていて、中医学の養生の一つとして、一般庶民の間で広く行われてきた。

 現代の中国では、「三九天」の治療は、「三伏天」の治療ほど人気は高くないが、それでも子供を中心に、冬至を過ぎた頃から鍼灸科に治療にやってくる人が絶えない。(2008年12月記・医師(中医学)・医学博士 藤田 康介)

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