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腎臓結石と胡桃

 腎臓結石など泌尿器の結石を治療するときに、中医学を活用することは中国でもよく行われている。こうした泌尿器の結石の多くは、中医学では淋証に属し、石淋・膏淋・血淋などの各証に分類される。
 その治療は、一般的に、湿熱淋証に使われる八正散、石淋証のうち清熱利湿・通淋排石に使われる石葦散などが有名だ。もちろん、金銭草や海金砂、鶏内金などの生薬も加減してよく使われるが、中国の民間では、胡桃も使われることがある。上海市の瑞金医院、張守傑副主任医師が12月20日の上海の夕刊紙『新民晩報』でその経験を紹介している。

 張医師が1984年に診察した腎臓結石の患者で、最近生の胡桃を毎日3~4個を食べると、2週間ほどで結石が排出されたという症例があったという。初めは半信半疑だったが、さらに胡桃をたべて結石が出てきたという患者にも遭遇し、偶然ではないのでは?と文献を調べたら、唐代の『海上集験方』にも、「胡桃肉一升、細米煮漿粥一升、相和頓服」という石淋治療の記載を発見た。確かに中医学で胡桃が結石の治療に使われていたことが分かった。

 中国では、冬になると「冬令進補」の季節となり、庶民の間でも黒ゴマや胡桃を食べる人が増える。すると、胡桃を食べたら結石が排出されたという話をさらによく聞くようになったと張医師は言う。今ではこれを応用して、腎臓結石予防・排出の処方も実践している。例えば、毎日30グラムの金銭草をお茶代わりに飲み、さらに毎日4~5個の生の胡桃を1ヶ月食べるというもの。これにより、腎臓結石摘出の手術や衝撃派破砕治療などをせずに、結石の排出に成功した症例が数多くあるという。(金銭草は、尿のPHを下げ、結石が溶解しやすくするほか、カルシウム成分の結石防止や、シュウ酸の結晶が集まってくるのを防ぎ、結石形成を抑制する働きなどがある。)

 胡桃を使った腎臓結石に治療は、実は先人たちもその経験を紹介している。上海の著名な老中医、黄文東教授も『実用中医内科学』にて生の胡桃が結石の予防に効果があると記している。さらに、1986年6月に出版された『中薬大辞典』でも、胡桃200グラムを油で炒めてカリカリにし、砂糖を適当に加えて粉末にし、1~2日服用すると、結石の治療に効果があるとしている。(2008年12月記 新民晩報 12月20日より 医学博士・医師 藤田康介)

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