中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　中国国家科技部が定める973計画の中医理論項目に、灸法が加わることが決まった。973計画とは、「中国国家重点基礎計画発展計画」とも呼ばれ、近い将来の中国における科学技術発展の方向性を理解する上で大切な計画とも言える。

　この中で、灸法に関しては、「灸法作用の基本原理と応用規則研究」と命名され、上海中医薬大学・江西中医薬大学・成都中医薬大学・湖南中医薬大学・南京中医薬大学・北京中医薬大学が担当し、研究予算は1200万元（約1億7千万円）が計上された。上海中医薬大学の呉煥金教授が首席科学者となり、117名の専門家が参加する。

　呉煥金教授によると、この研究計画は、灸法の過去の研究成果と中医鍼灸理論を組み合わせ、さらに艾灸の臨床での有効性とその作用、応用性についても研究される。その上で、灸法の得意とする疾患を見つけ、難病に対する効果を確認する。また、艾灸による温熱刺激とその生成物による反応を調べ、灸の効果に対する科学的基礎も研究する。
　特に、灸の場合は、灸をする場所や量、灸の材料などがその効能に影響する重要要素として考えられ、いかに合理的に治療効果を上げるかが焦点となっている。そこで、過去の文献や臨床実績などを元に、更に研究を進め、実験研究も含めたトータルな取り組みを行うとしている。（2009年4月記　上海中医薬報　医師（中医学）医学博士　藤田　康介）