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973計画における「臨床に基づく針麻酔鎮痛の基礎研究」について

 中国が国家プロジェクトとして進めている973計画のうち、「臨床に基づく針麻酔鎮痛の基礎研究」について、まず頭蓋脳・心臓・肺切除・甲状腺などの手術で、針麻酔を行う操作規定とその方法がまとめられた。

 針麻酔による鎮痛方法の物質的基礎とその生物学的メカニズムについての基礎研究が一歩前進したとしている。

 今回の研究では、北京大学・復旦大学・首都医科大学・中国中医科学院・浙江中医薬大学・上海中医薬大学など10カ所の大学・研究機構が7件の研究課題について研究を進め、中国科学院の韓済生院士を首席科学者として、2007年から中国科技部の批准のもと行われた。その後、2009年初めに研究結果に対しての中間評価が行われた。

 この研究では、中医学の針灸理論のもとで、各手術における最も効果的な経穴の組み合わせを定め、針灸による鎮痛メカニズムの解明と理論化が試みられている。例えば、針麻酔を使った頭蓋脳手術では、針麻酔と麻酔薬を応用した全身麻酔の中枢神経内における関係のほかにも、針による麻酔の補助的作用時に脳機能領野腫瘍切除手術の麻酔覚醒中の作用メカニズムについての研究が行われた。そこで、「針と麻酔薬を複合的に用いた全身麻酔時の開頭術の操作規定」がまとめられた。また、針麻酔を使った心臓病手術・肺切除手術・甲状腺手術では、経穴と鎮痛、さらに体の保護作用との関係を切り口に、針麻酔における経穴に一定の法則があることが分かり、心臓病手術での基礎的な方法体系を示した。甲状腺手術でも、同様に理想的な針麻酔方法と経穴処方が示されている。

 また、基礎研究でも、針による鎮痛動物モデルや急性創傷痛動物モデルなどの動物実験や、細胞・分子レベルでの針麻酔による鎮痛の物質的基礎と生物学的仕組みの研究が始められており、5年後を目標に一定の成果が挙げられることを期待されている。(2009年5月記・中国中医薬報5月27日より編集・藤田 康介)

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