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中医薬による肝硬変治療に大きな進歩

  益気生精・補益虚損治療の新方法

  このほど,2011年度上海市科学技術賞が公表された。このうち,上海中医薬大学付属曙光医院肝病研究所が筆頭となり完成させた,肝炎後の肝硬変の「虚損生積」という中医病機理論の構築と応用が,上海市科学技術進歩賞の一等賞を受賞した。同研究では,肝硬変の「虚損生積」の病機理論および科学的意義を提唱し,それを系統的に論証しており,益気生精・補益虚損による肝硬変治療の新たな方法を確立した。これにより,肝硬変の「本虚標実」という本質や,「治病求本」の現代科学的な意義を詳細に説明して,中医の病機と病理生物学の意義を通じさせることに成功した。
  研究チームは,研究過程において虚損と癥積に関する古代文献のデータベースを構築し,「虚損生積」の病機理論を明確にした。また,慢性B型肝炎・肝硬変の証候類型の比較や,その証候類型と肝組織の病理学的変化の相似点を分析することによって,慢性B型肝炎の肝線維化の進度を肝硬変の病機変化として示した。同研究では,112症例の肝硬変患者(ステージ4)に対し,48週にわたり多施設ダブルブラインドランダム化比較対照試験を行って,その治療効果を観察した。その結果,益気黄耆湯には顕著な肝機能改善の効果があることが明らかになった。さらに,益気補精の方薬の効果にもとづき,肝硬変の「虚損生積」の病理・生物学的メカニズムを分析し,益気補虚の中薬の主要活性成分および配合による作用増強のメカニズムを発見した。
  同研究の成果は,すでに広く応用が進んでおり,益気化瘀を基本治法とした肝硬変治療は,『中医内科常見病診療指南―西医疾病部分」に組み入れられている。また研究員たちは,62篇の同研究関連の論文を発表しており,このうちScience Citation Index(SCI)に収録されている論文は12篇,The Engineering Index(EI)に収録されているものは9篇で,発明特許を申請しているものが6項目(うち国際特許が2項目)ある。この他,同項目は上海市の推薦を受け,2012年の国家科学技術進歩賞に申告している。

中国中医薬報[2012.04.04]
翻訳:平出由子

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