中医学の東洋学術出版社：中国最新情報

　４月26日，中国の商務部，外交部，国家中医薬管理局など14部門の制定する『関于促進中医薬服務貿易発展的若干意見』（中医薬のサービス貿易の発展に関する若干の意見）が公表された。
　『意見』は，中国が中医薬のサービス貿易の発展を重視し，その後押しを国家をあげて行うことを鮮明にしたもので，今後のゆくえが注目される。
　中国が重視する「サービス貿易」とは，モノの輸出入以外のサービス産業によって行われる様々な形態のサービスの貿易のことで，WTOのサービス協定（GATS：General Agreement on Trade in Services）では，その形態を次の４つに分類している。
　①国境を超えた取引
　②海外における消費
　③拠点の設置（拠点を通じてのサービスの提供）
　④自然人の移動によるサービスの提供

　今回公表された『意見』は，中国の中央政府が中医薬発展のテコ入れとして公表した2009年３月の『中共中央国務院関于深化医薬衛生体制改革的意見』や，2009年４月の『国務院関于扶持和促進中医薬事業発展的若干意見』の延長に位置しており，中国が中医薬を製品だけでなく，サービス分野においても世界展開させることを明確に示したものである。
　『意見』は，まず中医薬のサービス貿易の発展に向けた基本思想，基本原則を提示したうえで，全体目標として次の点をあげる。
　①５年を目処に，中医薬のサービス貿易の管理体制を確立して，国際市場のニーズに応じた促進体制とマーケティング体制を確立する。
　②中医薬のサービス貿易の政策法規を制定して，技術的な貿易措置を改善し，中医薬のサービス基準を確立して，国際的な共通認識を得られるよう努める。
　③中医薬のサービス貿易に携わる人材に対する政策法規と育成訓練を展開して，人材の育成を行う。
　④国内外で中医薬のサービス貿易の模範機関を設立して，宣伝と普及を強化する。
　⑤国際的に影響力のある知名度の高いブランドを造り，基幹企業を育成し，企業をサポートしてグループ創設に向けた基礎を固める。
　⑥国際市場における配置を計画的に行い，海外進出を推進して，サービスの品質や付加価値を高め，全面的な輸出増加を促進する。

　さらに『意見』では，中医薬のサービス貿易の発展に向け８つの重点項目をしめす。
　①中医薬のサービス貿易の多元化戦略を実施する
　②中医薬のサービス貿易のモデル機関を創設する
　③中医薬の物流配送センターと経済連盟の確立を支持する
　④技術的な貿易措置の体制確立を強化する
　⑤中医薬のサービス貿易を専門とする人材の育成を急ぐ
　⑥科学技術の革新を発揮して中医薬のサービス貿易の効果を推進する
　⑦中医薬のサービス貿易の情報プラットフォームを創設する
　⑧中医薬のサービス貿易の統計体制を確立し完全なものとする

　さらに中医薬のサービス貿易の発展を促進する政策措置について次の７つをしめす。
　①中医薬のサービス貿易を担う企業の海外進出を奨励する
　②対外援助の方式によって中医薬のサービス貿易の輸出を促進する
　③中医薬のサービス貿易の発展を促進するために税の優遇政策を整える
　④中医薬のサービス貿易のために有効な金融支援を提供する
　⑤中医薬分野における外商投資を継続的に奨励する
　⑥中医薬のサービスおよび関連する製品の輸出管理の行程を規範化する
　⑦中医薬のサービスを行う人員の出入国をしやすくする

　最後に，中医薬のサービス貿易の発展に向けた環境整備として以下の５つをしめす。
　①中医薬のサービス貿易の発展に向け組織と管理を強化する
　②政府の多くの二国間交渉を通して良好な外部環境を造る
　③仲介機構と業界の協会効果を発揮して，規格化と自律的な市場環境を作る
　④中国伝統医薬分野の知的所有権の確保，運用，保護，管理を強化する
　⑤中医薬文化の国際的な宣伝と普及を促進する

（編集部）