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2012年第1四半期,中国の中薬輸出入額は同期比1割近く増加

  中国医薬保健品輸出入商会の霍衛氏は『中国中医薬報』(2012.5.18)に寄稿し,「2012年第1四半期,中国の中薬の輸出入額は7.58億ドル(約602億円)で,同期比9.42%増加。そのうち輸入額は1.69億ドル(約134億円)で,同期比20.46%増加,輸出額は5.89億ドル(約468億円)で,同期比6.62%増加であった」と明らかにした。
  論文によると,中薬の輸入額が大幅に増加した主因は,甘草および甘草抽出物の大幅な輸入増によるもので,特に輸入総量の80%以上をウズベキスタン,カザフスタン等で占めるという。輸出面では,人参について,2011年中国の人参の輸出価格はトン当たり36,770ドル(約290万円)で,同期比84%上昇し,2012年第1四半期の輸出価格はトン当たり43,000ドル(約340万円)に達し,史上最高値をつけたという。しかし世界市場に目を転じると,中国産人参は韓国産の高麗人参よりもはるかに安値で取引されており(韓国の高麗人参の輸出価格はトン当たり179,603ドル(約1,400万円)に達するという),韓国産高麗人参が高価格品市場を占める一方で,中国産人参は中低価格品市場を占めているに過ぎないという。このため霍氏は中国産人参のブランド価値を上げ,国際競争力を高める必要があると指摘する。こうしたなかで今年に入って吉林省では高付加価値のブランドとして「長白山人参」の試みが始まっているという。
  さらに論文では,台湾向け輸出が低迷したが,これは2011年9月1日より,台湾では中薬原料の輸入に対する管理を強化したことを挙げている。台湾は大陸からの輸入に対して,いくつかの中薬原料の残留農薬と重金属に対し日本や韓国以上に高く制限するよう求めているという。台湾はまず紅棗,杜仲,茯苓,川芎,白朮,白芍,地黄,当帰,黄耆,甘草など10種類の製品の制限を実施し,そのため第1四半期の対台湾輸出量は下落したという。
  総じて,世界経済の厳しさを受け,企業のコスト増加と為替等の要因によって,第1四半期で中薬の輸出量は同期比で約18%下落したという。特に下落幅が大きかったのはおもに中薬原料と健康食品で,中薬の輸出量がこのように大幅に下がることは少なく,危機感が高まっている。そして霍氏は,このような状況を受け,すでに実施している様々な輸出の優遇政策を維持し,企業の輸出のために良好な環境づくりに努めなければならないと結んでいる。

(編集部)


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