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朱氏頭皮針,再び!

朱明清氏来日講演(2013年3月3日)リポート

朱氏頭皮針―脳血管障害や脊椎損傷に伴う麻痺に苦しむ患者に,希望の火を灯す針。
2013年3月3日(日),24年前,「神針の朱」として脚光を浴びた「朱氏頭皮針」の開発者・朱明清氏が来日し,目黒さつき会館(品川区)において講演会が行われ,最新の朱氏頭皮針が披露された(主催:中国伝統医学研究院 リー針灸治療院)。当日は,130名を超す参加者が会場を覆い尽くさんばかりにつめかけ,たいへんな熱気に包まれた。


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朱氏頭皮針は新たなステージへ
 「8年前に脳梗塞で倒れ,右半身が麻痺し,杖なしでは歩行できなかった患者が,朱氏頭皮針を受け,杖なしで歩行してみせた」
 これは,この日の講演会で行われた朱氏頭皮針実演の一コマだ。
 百聞は一見にしかず。即効性と高い効果をもつこの針の威力を知るには,十分なデモンストレーションであった。
 朱氏頭皮針は,1980年代に,朱明清氏が中国伝統医学の理論と西洋医学の知識を融合して開発した針療法である。頭針には焦氏,方氏,湯氏など,いくつもの流派があるが,大きく①西洋医学の大脳皮質機能の投影区を根拠にするものと,②中医理論を根拠にするものがある。朱氏頭皮針は後者で,中医弁証を重視し,脳原性の患者だけでなく,さまざまな難病・雑病に対応できる点が特徴である。即効性と効果の高さで世界に衝撃を与え,「神針の朱」と称される一大センセーションを巻き起こした。
 1989年,初来日講演と,世界に先駆けた単行本『朱氏頭皮針』の刊行によって,日本でも広く受け入れられ,大勢の医師や鍼灸師がこの針を熱心に学習して実践した。その後,朱明清氏は米国カリフォルニアに拠点を移し,24年の臨床と研究の積み重ねによって,朱氏頭皮針はさらに使いやすく,効果を高めやすいよう改善された。2013年は,朱明清氏の再来日講演と単行本の改訂によって,進化した朱氏頭皮針が新たなステージへと進んだ年として記憶されるはずである。
 講演会の冒頭,挨拶に立った朱明清氏は,「今日は皆さんに針灸の真髄をお伝えしたい。真髄とは①救急,②百病を治す,③バランスのコントロール(調虚実)です。特に①②を達成するには高いレベルが要求されます。針灸を美容やダイエットといった内容にとどまらせるのではなく,①②のレベルにまで持っていきましょう!」と力強く語りかけ,講演会の口火を切った。


「導引」が効果を向上させるポイント
厲暢氏 今回の講演会は,「中国伝統医学研究院 リー針灸治療院」の20周年を記念して行われたもので,院長の厲暢(リー・チョウ)氏が中心となって開催したものである。
 厲暢氏は20数年前,朱明清氏とともに北京にある中国中医研究院で臨床と研究に従事していた。1988年に来日した厲暢氏が,後藤学園の後藤修司理事長に朱明清氏を紹介したことから,1989年の日本での講演が実現し,さらに東洋学術出版社への推薦・協力があって『朱氏頭皮針』が刊行されることになった。厲暢氏は日本と朱明清氏をつなぐ役割を担い,またこの20年間,日本にこの針を普及するために,朱氏の委託を受け講義活動を地道に続けてきた。そして今回,再び朱氏を日本に招き,朱氏頭皮針の新しい舞台づくりの先駆けとなった。
 講演会は,午前・午後の2部構成となっており,午前はビデオ映像の視聴と,進化した最新版の朱氏頭皮針を解説するものであった。
 まず,20年前に日本の報道番組で紹介された際のビデオ映像や,現在朱明清氏が拠点をおく米国カリフォルニア州のクリニックでの治療の様子を撮影した映像が流された。そこに映し出された患者やその家族の反応を通して,改めてこの針が大勢の難病に苦しむ人たちから厚く信頼を寄せられている針であることを再確認できた。
 この20年で朱氏頭皮針に生じた最大の変化は,治療部位が「治療帯」から「治療区」に変更された点である。講演では,この区分けがバイオホログラフィー(生物全息)理論にもとづき,さまざまな体勢をした5つの人体が圧縮,投影されてできていることや,具体的な部位についても丁寧に紹介された。治療区は,従来の「帯」を細分化して区切ったものであるが,治療区の名称は,治療目的部位とおおよそ一致しているため,治療区を選定しやすく,以前よりも格段に使いやすくなった点が特筆される。
 午後は,朱明清氏がステージにあがり,自ら針の操作の基礎知識と手法を解説,そして本リポートの冒頭で紹介した実演を行った。わずか数本の針を刺し,手技と導引を施すと,これまであがらなかった麻痺足が自力で持ちあがり,さらに杖や介助なしで30センチ程度の台を上り下りすることができ,会場からは大きな拍手が起こった。さらに参加者から,治療体験を希望する具合の悪いモデル患者を募り,次々と頭皮針を施していった。会場はその即効性を目のあたりにして,驚きと興奮に包まれた。


  
写真左:身振り手振りを交え,基礎的な手法操作の解説をする朱明清氏。
写真右:モデル患者に刺針の実演を行う朱明清氏。


 実演で特に印象的だったのは「導引」であった。朱明清氏は,頭部に刺針しながら,患部である足や手,頸などに丹念に柔按を施していた。新しい朱氏頭皮針は,治療区の選定が容易になったため,一見すると誰でも簡単にこの針を実践できるかのように思われるが,じつは治療効果をあげるためには,気を患部へと誘導する導引が欠かせない。こんどの改訂版ではその内容が具体的に記されているので,ぜひ参照していただきたい。さらに朱明清氏はこの針で効果をあげるためには,「針到り・意到り・気到り・導引到り・効果到りの『五到』を得ることが重要である」ことも強調した。



右半身麻痺のモデル患者に厲暢氏が刺針手法を行いながら,
朱明清氏が患側の足に導引を施す


 その後,参加者が10数名程度のグループに分かれ,それぞれに頭針を打ち合ってみる実技の時間が設けられた。各グループを朱明清氏と厲暢氏が巡回し,刺針や手技をチェックし,参加者の質問にも一つひとつ丁寧に答えながら,指導していった。ときには朱明清氏が手技を施してみせ,その様子を間近で見ることのできるチャンスもあった。

  *  *  *  
 今年5月中旬,初版から23年ぶりに『朱氏頭皮針』の改訂版が出版され,朱氏頭皮針は新たなステージへと進んだ。今後は,この針を継続的に学習できる拠点を整備していくことが必要であろう。今回の講演会を主宰した厲暢氏を中心にその輪が広がっていくことを期待したい。

(文責・編集部)


→『朱氏頭皮針 改訂版』  朱氏頭皮針 改訂版


中医臨床133号


『中医臨床』通巻133号の記事を掲載

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