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通巻149号(Vol.38-No.2)◇【訃報】江部洋一郎先生



訃報

 経方医学の江部洋一郎先生が5月16日に逝去されました。
 『中医臨床』のインタビューで江部洋一郎先生を取り上げたのは1999年9月のこと。『経方医学』第1巻の刊行から2年後のことでした。インタビューでは教科書中医学の抱える矛盾や問題点が経方理論誕生の背景にあることを述べた後,経方医学と中医学との関係を「『経方医学』は広義的な中医学といえますし,私自身は『中医経方派』の日本分派だと思っています」と話されました。さらに日本の古方派との接点について語られ,「ある意味で私は中医学と古方派の両方をつなぐパイプで,中医でもあるし,古方でもある。古方派の先生が『傷寒論』を理解するのに,私の解釈がたぶん役に立つと思います」と言い添えられました。また「一所懸命に勉強し,相撲のように真剣勝負で臨床に取り組む人なら,中医でも古方でもすべて仲間であるべきです。いくら中医でも不勉強な人は相手にしたくありません。教科書にとどまって満足する中医はだめです」と答えられ,そこには,空理空論を嫌い,臨床を重視し,厳しいなかにも温かな眼差しをもった江部先生らしさがにじみ出ていました。
 それから20年,臨床重視の真剣勝負は一貫して変わりませんでした。
 2年半前に病を患われましたが,ときどき電話をいただき,経過は順調であるとうかがっていました。今年3月末,江部先生から「これまでの『経方医学』で漏れていた処方をまとめたので6冊目としてほしい。これで『傷寒論』の処方は網羅されたと思う」と電話をいただきました。いつも通りの筆書きの原稿が届いたのが5月1日。さっそく『経方医学』第6巻の刊行に向けて作業を始めた矢先,突然の訃報でした。
 当社では第6巻の刊行を目指すとともに,漢方医学の歴史に新しいページを開いた経方医学を後に続く先生方と一緒にさらに拡大し,江部先生の精神を受け継いできたいと考えています。(編集部 井ノ上匠)


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【略歴】1948年広島生まれ,1972年京都大学医学部卒業,1975年京都・高雄病院勤務,1994年同病院院長,江部医院開院。著書に『経方医学』シリーズ(1~5巻,経方薬論,経方脈学)。




(2017年6月)






中医臨床 通巻149号(Vol.38-No.2)特集/薬局における漢方・生薬製剤の中医学的運用(後篇)


『中医臨床』通巻149号(Vol.38-No.2)掲載


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