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▼李世珍先生の針

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第2回「李式伝統鍼灸,日本実践検討会」

  2012年10月8日,東京・目黒区民センターにおいて,第2回「李式伝統鍼灸,日本実践検討会」が開催された。

李楊氏 本会は,「李世珍の鍼」として親しまれている李式伝統鍼灸の,日本での普及と技術向上を目的に,昨年設立され,今回はその2回目の検討会。会長は今回から李家6世代目の李楊氏(写真)が務める。
 この検討会では,李式伝統鍼灸を実践する臨床家が,自分たちの臨床経験を持ち寄って症例検討を行い,この鍼の臨床力を検証するというスタイルをとっている。今回のテーマは頭痛であった。
 白川織江氏(呼泉堂)・関口善太氏(中醫堂)・鎌田剛氏(東京衛生学園)・李楊氏がそれぞれ座長を務め,合計10症例について参加者とともにじっくりと検討を重ねた。今回,その症例のなかから,李楊氏が発表した症例を「症例報告」としてまとめ,『中医臨床』131号に掲載したので参照されたい。


検討会の様子
検討会の様子


 検討会は,2部構成となっており,1部が症例の検討会,2部が来年度のテーマである鬱証に関する講義であった。この講義では,李楊氏が鬱証の基本的な弁証と李式配穴について解説した。特に鬱証の弁証論治で使用するすべてのツボについて,実技を交え実際の刺鍼法を具体的に紹介し,非常に実践的であった。


実技を交え刺鍼法を解説する李楊氏
実技を交え刺鍼法を解説する李楊氏


 「李世珍の鍼」の価値は,すでに言い尽くされた感があるが,大きく2つあると思われる。1つめは,臓腑弁証への掘り下げが非常に深いということ。2つめは,ツボの作用と補瀉手技の結びつきをはっきりさせているということである。理論と,それを導く方法が一本の糸でしっかりと結ばれている。中医鍼灸の書籍は無数に出版されているが,理・法・方・穴・術の体系を,ここまで緻密に掘り下げ,その運用方法を具体的に指示した鍼は他にない。それゆえにこの日本でこの鍼をどう活かすのか,という点をさらに深めていくことがいま求められている。
 もちろん,その土台になるのは,李世珍先生の2冊の著書であるが,日本と中国の風土の違い,日本には開業鍼灸師が多いことなど,日本と中国とでは鍼灸を取り巻く環境が大きく異なる。日本におけるこの鍼の有用性を検討してゆき,その経験を着実に蓄積していくことが大切である。本会の今後の展開に期待したい。

編集部


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