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【訃報】焦樹徳先生が逝去されました


 2008年6月14日午前,焦樹徳先生が逝去されました。享年86歳でした。約1年前に脳幹出血で倒れられて以来,病床に就かれていたとうかがっておりましたが,突然の悲報に接し,謹んで深い哀悼の意を表します。

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 焦先生は,1922年生まれ,河北省辛集市のご出身で,若い頃より母方の祖父に中医を学び,古典を通じて堅固たる理論基礎を築かれました。1941年より医業に就かれ,1946年に衛生局の試験に合格して医師資格を取得され,1950年には衛生部の高級医師の試験に合格されました。その後,北京市立第二医院で内科医師として勤務されながら西洋医学も学ばれるとともに,蒲輔周・黄竹斎・秦伯未ら名中医の教えを受けられました。
 1958年には北京中医学院(現・北京中医薬大学)で勤務を開始され,27年にわたって内科教研室および附属医院内科の要職を歴任されました。1984年には,中日友好医院の専家室に副主任として赴任されました。
 焦先生は内科疑難重病の治療を得意とされ,卓越した治療効果を発揮されました。肝胆および泌尿器結石・萎縮性胃炎・消化器潰瘍・心血管疾患・脳梗塞などの治療に効果をあげ,多くの患者を救いました。
 焦先生の学術的な特徴は,中医理論に基づき,弁証論治を重視して臨床実践を行う点にあります。「理・法・方・薬」を仔細に検討し,例えば咳嗽治療にあたり二綱六証の三原則を提起されたり,また関節リウマチの治療においては「尪痺」という新たな病名を創出し,専用方剤を開発したりするなど,中医治療の発展に寄与されました。
 一方で,焦先生は国際的にも活躍され,日本・米国・シンガポールなどの国々から招待されて学術講演をされ,また各国の中医学研究所の顧問となって学術交流に努められ,賞賛を浴びました。焦先生の代表著作である『用薬心得十講』『方剤心得十講』『病例から語る弁証論治』などは海外でも翻訳出版されています。
 焦先生は1990年より国務院の「特殊手当て」を授与され,近年は中日友好医院の学術委員会委員・中医教授・主任医師・専家室副主任,中国中医薬学会顧問,北京中医薬大学教授,中国中医研究院研究生部客員教授,『中医雑誌』編集委員など,数々の要職を務められていました。


 小社発行の『中医臨床』には,1984年からたびたびご登場いただきました。特に1986年,1987年と2年連続で来日され,京都・高雄病院での日本中医学研究会に参加されてご講演された際には,リポート記事を掲載しました。また,焦先生のご著書の日本語版『症例から学ぶ弁証論治』は,たいへん好評を得,日本の中医学界に大きな影響を与えました。


 焦先生のご逝去は,中国のみならず日本の中医界にとって誠に大きな損失であり,たいへん残念です。残された者にとって,焦先生の貴重な教えを宝として,中医学のより一層の発展を目指すことが責務です。
 焦先生のご冥福を,心よりお祈り申し上げます。

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