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▼書籍のご案内-後書き

『中国医学の身体論――古典から紐解く形体』あとがき

[ 中医学 ][ 鍼灸 ]

 
あとがき
 
 
 本書の力点は第Ⅱ部にある。第Ⅰ部の「臓腑学説」は,第Ⅱ部を導く必要から附されたものであるといっても過言ではない。
 2017年に『古典から学ぶ経絡の流れ』を上梓した。同書では『素問』『霊枢』『難経』などに見られる経脈・絡脈・経別・経筋の種々の記載を十四経の各経脈ごとに分類し,さらに各経脈の末尾に,本経だけでなく,絡脈・経別のすべてを合わせた十四経の流注を付記した。
 同書の目的は,十四経経穴の主治原則の一つである「経絡が通じる所は主治が及ぶ所」にもとづく遠隔作用に根拠を与えることであった。たとえば胃経の足三里穴がなぜ「目内障」の「目不明」に効果があるのかを考えたとき,胃経は絡脈と経別(別行する正経)の両脈が目系に流注していることで首肯できる。したがって同書の目的はそれぞれの経穴をもつ十四経で,そのすべての流注を明らかにしようとすることであった。
 本書は,それとは逆に,各臓腑・組織・器官に視点を向け,それらの組織や器官が,どの経絡・どの臓腑と関連しているのかを明らかにしたものである。
 したがって本書と前著『古典から学ぶ経絡の流れ』は,表裏一体を為すものであると考える。
 本書の執筆は前著が刊行されてから,ほとんど間を置かず始まったが,ある程度の完成を見て,今回出版する運びとなるまで5年の年数がかかってしまった。
 勿論,不十分な点が随所に見られるのは承知のうえだが,本書が礎となって,さらに掘り下げた形体論が将来,書かれることを期待している。
 5年前,簡単な企画書と目次をご覧になっただけで,出版を約束された東洋学術出版社の井ノ上社長,また,編集者の立場で執筆者の拙稿に辛抱強く,お付き合いくださった編集部の森由紀さんに深く謝意を申し上げる。
 

2022年6月
浅川 要


 
 

『乾くんの教えて!四診 上巻』参考文献

[ 中医学 ]

 
参考文献
 
鄭鉄涛主編:中医診断学2版,人民衛生出版社,北京,2016
鄭鉄涛主編:中医診断学2版,上海科学技術出版社,上海,2007
呉承玉主編:中医診断学,上海科学技術出版社,上海,2008
任廷革,湯尓群ほか編著:任応秋臨床心験,人民衛生出版社,北京,2013
秦伯未,李岩,張田仁,魏執真共著:中医臨床備要,人民衛生出版社,北京,2013
汪宏著,王小芸,趙懐船,張玪校注:望診遵経,学苑出版社,北京,2011
林之瀚著,呉仕驥点校:四診抉微,天津科学技術出版社,天津,2012
陳家旭主編:中医診断学図表解,人民衛生出版社,北京,2011
史俊芳主編:中医診断学筆記,科学出版社,北京,2007
周幸来主編:望甲診病与中医簡易治療,人民衛生出版社,北京,2011
張伯臾主編:中医内科学,上海科学技術出版社,上海,2006
廖品正主編:中医眼科学,上海科学技術出版社,上海,2012
阮岩主編:中医耳鼻咽喉科学,人民衛生出版社,北京,2012
江育仁主編:中医児科学,上海科学技術出版社,上海,2007
陳紅風主編:中医外科学,上海科学技術出版社,上海,2009
邱茂良主編:鍼灸学,上海科学技術出版社,上海,2007
印会河主編:中医基礎理論,上海科学技術出版社,上海,2007
任応秋主編:任応秋論医集,人民衛生出版社,北京,2008
任応秋著:任応秋講『内経』,科学技術出版社,北京,2013
李克光,張家礼主編:金匱要略2版,人民衛生出版社,北京,2008
王農銀主編:簡明実用中医基礎詞典,貴州科技出版社,貴州,2006
李其忠:気門、玄府、腠理、三焦関考,上海中医薬雑誌,1998(3),1-3
曲麗芳:従『金匱要略』腠理探三焦系統形質効能,中国医薬学報,2002(17)3,149-151
曹吉瑞:浅談欠症,光明中医雑誌,1995(5),16-17
張広麒:齘歯芻議,雲南中医学院学報,1986(1),24-26
 
 

『乾くんの教えて!中医疫病』参考文献

[ 中医学 ]

 
参考文献
 
益増秀,陳勇毅主編:中医治疫名論名方名案,人民衛生出版社,北京,2006
彭子益著:円運動的古中医学 温病本気編,中国世家,https://www.zysj.com.cn/lilunshuji/yuanyundongdeguzhongyixue/index.html (参照2020-02-25)
楊進主編:温病学2版,人民衛生出版社,北京,2008
趙紹琴,胡定邦,劉景源主編:温病縦横,人民衛生出版社,北京,2006
 
 

『乾くんの教えて!中薬学』参考文献

[ 中医学 ]

 
参考文献
 
顔正華主編:中薬学2版,人民衛生出版社,北京,2012
徐楚江主編:中薬炮製学,上海科学技術出版社,上海,2009
龔千鋒,袁小平,鐘凌雲主編:中薬材炮製加工方法図解,人民衛生出版社,北京,2010
曹睴,呉玢,王孝涛編著:中薬炮製伝統技芸図典,中国中医薬出版社,北京,2013
唐徳才主編:中薬学,上海中医薬大学出版社,上海,2006
任応秋著:任応秋講『内経』,科学技術出版社,北京,2013
任応秋著:病機臨床分析/運気学説,上海科学技術出版社,上海,2009
秦伯未著:秦伯未増補謙斎医学講稿,中国医薬科技出版社,北京,2013
孫広仁主編:中国古代哲学与中医学,人民衛生出版社,北京,2009
林大勇ほか:経方薬物炮製法挙偶,遼寧中医薬大学学報,2007,vol.9,No.5,p.158-159
楊宝竜ほか:中薬炮製解毒去毒機理,山西中医,2006,vol.22,No.3,p.45-46
宋尚晋ほか:仲景之烏頭減毒調護,遼寧中医薬大学学報,2015,vol.17,No.7,p.111-113
毛淑杰ほか:浅談中薬炮製輔料的研究,中国中医薬信息雑誌,2011,vol.18,No.1,p.7-9
張兆宸:中薬炮製常用輔料及其応用,中成薬研究,1981,vol.11,p.22-24
孔増科:中薬飲片加輔料炮製的作用,中成薬研究,1984,vol.11,p.17-26
王求淦:浅談炮製中薬的個体輔料,湖南中医雑誌,1988,Vol.1,p.41-43
崔妮ほか:中薬炮製薬汁製法歴史沿革及研究進展,薬学実践雑誌,2014,vol.32,No.3,p.167-170
毛淑杰ほか:中薬炮製輔料-蜂蜜古今煉製工芸及標準,科技創新導報,2008,No.1,p.134-135
鄢連和:米泔水炮製中薬的応用分析,伝統医学,2010,Vol.19,No.10,p.83-84
杜玉然ほか:稲米類中薬応用,中草薬,2013,Vol.44,No.7,p.923-928
王錫安:従『内経』五穀五畜五行比類五行学説的局限性,安徽中医学院学報,1996,Vol.15,No.3,p.2-3
劉維鋕:阿膠与水質,中成薬研究,1980,vol.6,p.23-25
靳光乾ほか:阿膠的歴史研究,中国中薬雑誌,2001,Vol.26,No.7,p.491-494
張振平ほか:明清阿膠主産地-東阿城(鎮)及其生産工芸,山東中医学院学報,1993,Vol.17,No.4,p.51-54
鄒堅白:漫談熬膠,江蘇中医,1963,Vol.6,p.29-31
王其献ほか:陳皮炮製的歴史沿革研究,中薬材,1998,Vol.21,No.3,p.127-129
汲守信:陳皮的功効沿革考,時珍国医国薬,2011,Vol.22,No.3,p.777-778
魏瑩ほか:陳皮本草考証,井岡山大学学報(自然科学版),2013,Vo.34,No.4,p.74-77
呉暁東ほか:蒸製陳皮炮製工芸的研究,中国薬師,2011,Vol.14,No.9,p.1265-1267
唐仕ほか:論自然環境因子変化対中薬薬性形成的影響,中国中薬雑誌,2010,Vol.35,No.1,P.126-128
文頴娟ほか:浅議生態環境対単味中薬功効発揮方向的影響,陝西中医,2008,Vol.29,No.11,p.1535-1536
金鑫ほか:中薬“道地”薬材与地理環境,長春中医薬大学学報,2010,Vol.26,No.4,p.287-288
逯春玲:談中薬的道地薬材,中国医薬導報,2010,Vol.7,No.13,p.227,p.230
鄥清明:中薬産地和炮製対功効影響响挙偶,中国中医薬現代遠程教育,2012,Vol.10,No.5,p.65-66
候士良:中薬薬性是中医臨床療効的関鍵,河南中医学院学報,2008,Vol.23,No.4,p.1-3
鄭金生:“道地薬材”的形成与発展(I),中薬材,1990,Vol.13,No.6,p.39-40
胡世林ほか:中薬材道地性与生物多様性,中国医薬学報,1999,Vol.14,No.5,p.16-19
劉法錦:中薬採収季節的研究概況,中薬材科技,1981,No.4,p.24-25
周立良:中薬的採収季節,中薬通報,1984,Vol.9,No.4,p.6-8
賈天柱:中薬生熟浅析,中医薬研究,1987,No.4,p.17-18
賈天柱:再論中薬生熟的変化与作用,中成薬,2006,Vol.28,No.7,p.984-986
王勤ほか:芻探中薬薬性炮製,中医学報,2011,Vol.26,No.4,p.448-450
張永興ほか:試論中薬相反相成配伍,陝西中医,1989,Vol.10,No.2,p.86-87
曹一鳴:関於中薬“相反相成”作用的方剤臨床体会,天津医薬,1976,No.8,p.379-381
朱歩先:従気味陰陽談単味薬功用的対立統一,中医雑誌,2002,Vol.43,No.11,p.865-867
史業弿:浅談象思惟在認識中薬功効方面的応用,中華中医薬雑誌,2015,Vol.30,No.4,p.1163-1165
李夢漪ほか:『本草綱目』象思惟研究概況,江西中医学院学報,2011,Vol.23,No.1,p.9-11
張婕ほか:程丑夫教授臨床択薬的意象思惟探析,湖南中医薬大学学報,2015,Vol.35,No.11,p.36-37
粱永林ほか:論象思惟対中薬作用認識的影響,中医研究,2013,Vol.26,No.5,p.3-5
吉文輝:中医的意象思惟与意象模式,南京中医薬大学第学報(社会科学版),2004,Vol.5,No.3,p.134-136
鄧媛:中薬“毒”性認識,環球中医薬,2008,p.21
郭愛則:中薬学中“毒”字含義探析,長治医学院学報,1994,Vol.8,No.3,p.266
熊麗娟:中薬毒性探討,雲南中医学院学報,2007,Vol.30,No.3,p.20-23
肖丹:浅論『内経』胃気理論及其対後世的影響,湖南中医学院学報,2006,vol.26,No.2,p.19-21
山西老醋伝統醸製技芸,百度百科,https://baike.baidu.com/item/山西老陈醋传统酿制技艺/15515798?fr=aladdin(参照2014年2月)
ミツカングループ,お酢のできるまで, https://www.mizkan.co.jp/osu-information/osu/make.html (参照2014年2月)
 
 

『上海清零 ~上海ゼロコロナ大作戦~』あとがき

[ 中医学 ]

 
あとがき
 
 
 予想通り,2021年も新型コロナの影響で日本に戻ることなくあっという間に1年が過ぎてしまいました。2020年1月16日に新型コロナ禍前最後の日本出張から上海に戻って以来,かれこれ2年近く日本に行くことができていないことになります。日中間を移動するにあたっての最大の障害は,空港での感染リスクと,中国に戻るときに課される強制隔離,そして高騰した航空券や隔離等にかかるコストの問題です。上海の場合,2021年11月の段階でもホテルでの集中隔離2週間,自宅での健康観察1週間と計3週間は拘束されることになるうえ,これに日本に戻ってからの自宅での隔離期間も合わせると計1カ月以上の時間が防疫対策のために消えてしまうことになります。当面,以前のように気軽に日中間を移動するようなことはまだまだ難しいでしょう。
 一方で,私たちの上海での暮らしは,2020年の春頃は出勤もできず自宅に籠もっていましたが,それ以降はコロナ禍前とほとんど変わらず,旅行へもいけるようになりましたし,会食も安心してできるようになっています。診察も途切れることなく継続できています。仮に散発的にでも感染者が出れば,ここ上海でも一時的かつ局所的な厳戒態勢になりますが,上海だと大体2週間我慢すればまた通常通りに戻り,「常態化」(警戒しながらも日常生活を継続する)対策が継続されます。
 世間ではしばしば,日本など世界の一部の国々で行われている「ウィズコロナ対策」と比較して,「中国のゼロコロナ対策」と,やや皮肉を込めていわれることを目にしますが,実は中国は現段階で決して新型コロナウイルスの撲滅を目指しているわけではありません。もちろん撲滅できることが望ましいわけですが,いまの全世界の状況をみると限りなく不可能になってしまいました。いくら国内でゼロコロナ(感染者や入院者がゼロ)が達成できても,毎日海外からの輸入感染例があり,コールドチェーンの輸入食品などからもウイルスが運び込まれてくるからです。むしろ,中国がいま行っている対策は,人口14億人の巨大かつ複雑な国で犠牲者を最小限に食い止めるために考えられた,いわば「中国式ウィズコロナ対策」(中国では「動態ゼロコロナ」と呼ばれています。動態ゼロコロナとは感染者が出続けても再びゼロに持っていく対策のことをいいます)の結果と考えるほうが自然だと思います。そして世界で新型コロナが落ち着き,治療薬が普及し,ワクチン接種が行き渡るまで時間稼ぎをしているのです。本書でも度々登場する鐘南山院士や張文宏主任も,このことを幾度となく国民に向けて発信しています。人それぞれに個性があるように,それぞれの国が抱える事情は異なり,対策方法がまったく違うのは当然で,未知の感染症に対して,犠牲者をできるだけ出さないように,それぞれの政府が取り組める対策を最大限に行っていくしかありません。これらには決して優劣はないのです。
 私は中国で働く医療者の一人として,中国在住の日本人が少しでも正しい情報に基づいて行動できるように,武漢が大変だった頃からSNS通じて中国から発せられる情報を整理し発信するように心がけました。背景には2003年のSARSの頃,中国で留学していた自分自身がなかなか正しい情報にありつけず,日本や欧米諸国のマスコミ情報に色々と翻弄された苦い経験がありました。その時の経験から,まずは私たち自身の中国での日常生活を淡々とSNSなどで呟くことが重要であることに気がつきました。日常生活そのものから,中国の感染症対策の一端を垣間見ることができるからです。しかし時間の経過とともに,どうも中国で行われている実際の対策が的確に日本に伝わっておらず,日々もどかしく感じるようになりました。とくに,マスコミなどで中国事情が紹介されても極めて断片的なうえ,むしろ興味本位の情報がインターネット上に溢れ,裏情報みたいに聞こえてくるデマ情報が,あたかも事実のようにもてはやされ,それらが徐々にインターネット上だけでなく実社会でも一人歩きするようになり,私たち現地在住者にとって必要な中国の新型コロナ対策の核心が一向に世界に伝わっていないことに不安を感じるようになりました。そして実際に武漢での流行の頃から現在まで私たち自身が体験したことを,記録に残すことも社会的に意義があるのではないかと思い至りました。2020年1月から2021年10月まで私たちが上海での実生活を通して新型コロナと対峙した記録が本書になります。
 さらに上海で暮らすだけでなく,湖北省武漢市をはじめとして,東北地方各省,江蘇省揚州市や福建省泉州市など新型コロナが収束したばかりのエリアを実際に自分の足で歩いてみました。回復した街の活気を感じつつ,そこで知り合った現地の人たちからも色々と貴重な体験を伺うことができました。ここで共通して感じたのは,人それぞれが自分たちのできる範囲で,自分たちや家族の命を守るために奮闘していたということです。決して政府にいわれたから行動するというレベルではありませんでした。日本でも,国民一人ひとりが対策に十分に気をつけていたのと同様に,中国でもこうした一人ひとりの新型コロナとの闘いが,中国国内の感染拡大防止に大いに役立っていたことは間違いありません。
 
 本書でもう一つ取りあげたかった大きなテーマは,中国の新型コロナ対策で欠かすことのできない中医学の積極的な活用です。日本でも一時,中国では「怪しい漢方薬」を使っていると報道されていたようですが,これも断片的な情報しか日本語になっていませんでした。そもそも中国では,大きく分けて西洋医学と中国伝統医学の医師ライセンスがあり,日常的にお互いが対等にかつ協力し合って病気を治療し,患者も自分の好みに応じて治療を選択することができる環境ができています。中国の長い歴史のなかで,中医学は常に感染症と闘ってきており,豊富な経験の蓄積があります。このことを認識せずに,中国の新型コロナ対策を語ることはできません。決してサプリメントを服用するような感じの漢方薬ではないのです。実際に,デルタ株が中国各地で散発的にみられるようになっても死亡例はほとんど出ておらず,人工呼吸器やECMOを使うような重篤例の患者も回復しています。その背景には常に中医学の存在がありました。そして,いまでは後遺症に対しても中医学を活用した対策が考え出されています。こうした感染者一人ひとりに対して,中国では国をあげて西洋医学だけでなく,中医学でフォローする方針がコロナ禍の当初から現在まで続けられています。
 新型コロナのような未知の感染症が流行した場合,症状から処方が組み立てられる中医学の役割は非常に重要で,かつ中医学は中国に根ざしている文化の一つでもあるため,一般市民にも受け入れやすいという背景もありました。また,西洋医学で開発された様々な高価な新型コロナの治療薬と違って安価に手に入るうえ,すぐに処方を出すことも可能です。こうした中国の経験は,中医学をルーツにもつ日本の漢方でも決して活用が不可能ではなかったはずですが,残念なことに,新型コロナを漢方薬で早期治療するという発想は,なかなか日本では受け入れられませんでした。日本の累計患者数や死者数が,中国の数を軽く越えてしまった現在,そして多くの方がいまなお後遺症で苦しんでいるなかで,日本でも中医学や漢方の活用をもっと真剣に考えてもよいのではないかと思います。いまの日本の現状は,われわれ中医学や漢方に携わる医療者として非常に残念に思いますし,まだまだ普及のための力が足りないことを痛感させられました。
 
 こうした色々な思いを込めながら,2021年秋にようやく本書を書き上げることができました。2021年11月の段階では,内モンゴル自治区など中国内陸部を発端としたクラスターや,遼寧省大連市の輸入品を扱うコールドチェーンをきっかけに広まったクラスターがまだ完全には沈静化していませんが,政府と国民一人ひとりの地道な対策で今回もきっと収束に向かうことでしょう。すでに2週間連続ゼロを達成した地域も出始めてきました。このように日々刻々と状況が変化し,常に新しい情報が更新されるなか,本書の出版にご尽力くださった東洋学術出版社の井ノ上匠社長には心よりお礼申しあげます。また,さまざまな情報を提供してくださった中国在住の日本人の皆さま,中国各地に点在する私の現地の友人,色々とアドバイスをくださった中国各地の中医学の専門家の皆さまにも深く感謝いたします。そして日々の勤務の間に,原稿執筆に奔走していた私を支えてくれた家族にも感謝します。
 少しでも早く全世界で新型コロナが沈静化し,私たちの日本への一時帰国が実現し,日本の皆さまに直にお会いできることを楽しみにしています。また皆さまにも中国に来ていただいて,いまの中国の本当の姿をじっくりと見ていただきたいです。
 
 最後に全世界で新型コロナに感染して亡くなった皆さまへご冥福をお祈りいたします。
 

2021年11月 初冬の寒さを感じるようになった上海浦東新区にて
藤田 康介


 
 

『中医鍼灸 鍼灸処方学』監訳者あとがき

[ 鍼灸 ]

 
監訳者あとがき
 
 
 本書の出版により,ついに『中医鍼灸 臨床経穴学』『中医鍼灸 臨床発揮』『中医鍼灸 鍼灸処方学』)(原著:それぞれ『常用腧穴臨床発揮』『鍼灸臨床弁証論治』『祖伝鍼灸常用処方』)からなる中医鍼灸3部作がここにすべて揃うこととなった。これらの3部作が揃い,そして3部作が一体化することによって,李氏先祖伝来5世代にわたる鍼灸臨床経験の全貌とその真髄を見ることができるようになったのである。
 その最大の特徴は,中医鍼灸における理・法・方・穴・術の一体性・一貫性・系統性,そして実用性・有用性である。じつは,このことについて李世珍先生は,『中医鍼灸 臨床発揮』の序文において,「これらの3部書が一体化することによって,先祖伝来5世代にわたる鍼灸経験の全貌を示すことができるものであり,一体化した鍼灸弁証論治の理論体系を構成することができるのである」と,鍼灸弁証論治に対する3部作一体化の重要な役割について述べられていたのである。
 臓腑と体表・組織・器官を有機的に連絡させているのが経絡系統であり,鍼灸医学は,『内経』の時代からこの経絡学説を理論的基礎として,診断においては経絡弁証を主として活用し,また治療においては循経取穴・原絡配穴,兪募配穴などを運用することによって,鍼灸医学の特色を体現してきた。
 また内傷・雑病に対する弁証論治においては,主として「臓腑の虚実・寒熱を弁別する」という弁証システムのもとで,関連する原穴・背部兪穴・募穴・五兪穴・子穴・母穴などを選穴し,実証には瀉法を施し,虚証には補法を施すという鍼灸治療の弁証論治システムを構築し,現在においてもこの弁証論治システムは有効に臨床活用がなされている。ただし,この弁証論治システムには蔵象学説や気血津液学説による,生理・病理が反映されていないことに課題があった。
 これらの歴史的な課題を踏まえて,後世の医家や李氏の祖先達は,「鍼灸医学をいかに発展させるか,中医理論の蔵象学説・気血津液学説などを鍼灸の臨床に応用できないか,また臨床実践を指導するにあたり,いかに理・法・方・穴を一体化させて鍼灸医学の弁証論治に応用していくか,そのために解決すべき問題は何か」といった研究テーマに対して,幾世代にもわたり臨床の現場で絶えず探求し研究を行ってきたのである。
 これらの遠大な研究テーマに対して李氏一族は5代にわたって膨大な量の探求・実践・検証を繰り返し,内傷・雑病を治療する際に,経絡学説だけでは足りない部分を,蔵象学説・気血津液学説などを導入することにより,その不十分な部分を解決するための探求に取り組み,ついにこの3部作を一体化させることによって独自の鍼灸弁証論治の理論体系を構築したのである。
 「どの臓腑で,気・血・津液・精・陰・陽のバランスが,どのように失調しているか」を弁証するレベルになると,湯液治療がそうであったように蔵象学説・気血津液学説などを基礎とした病機学説の臨床応用が必要となってくるのは必然的なことであったであろう。そして当然,その弁証結果に対する鍼灸治療のシステム構築が必要となったのである。多くの複雑な内傷・雑病に対しては,しっかりとその病機と証型を解明する必要があり,そしてその病機と証型に対する鍼灸治療の実践を通じて,経穴の効能について5世代にわたって数万症例を通じた探求が行われ,その成果の集大成がこの3部作として一体化されたのである。
 張兼維氏は本書の「序」において,「李氏鍼灸学が提唱している理・法・方・穴のうち,理と法は中医学の基礎理論にもとづいている。また『方』は,中医の病因・病理・病位・病機・病勢・病程に対する理論や,八綱弁証・臓腑弁証・衛気営血弁証を応用し,経絡と経穴の効能・主治を結合させて,鍼灸独自の『方』としている。李氏鍼灸学は,中医学の弁証論治の思想を鍼灸学のなかで具体的に表現したものであり,李氏鍼灸学が提唱している理・法・方・穴と伝統的な中医学の理・法・方・薬は,同源・同体・同功なのである」と非常に的を射た高い概括と評価を行っている。
 読者は本書で紹介されている以下の内容に留意しながら,中医鍼灸3部作を関連させて学習すると,いっそう高い学習効果を得ることができるであろう。また,3部作では合計1,200以上もの症例が紹介されている。特に,『中医鍼灸 臨床発揮』『中医鍼灸 鍼灸処方学』における症例報告の【考察】を精読しながら,以下の内容が症例のなかにどのように反映されているか,また理・法・方・穴・術の一体性・一貫性・系統性について,症例を通じてしっかりと探求していただきたい。必ずや読者諸氏のいっそうの臨床力の向上につながることであろう。
◇3部作のなかで紹介されている鍼灸常用処方は,経穴の効能と配穴後の協同作用を踏まえて創製されたものであり,同時に病機と証型を結びつけることによって全身治療と弁証取穴を行うことができる。
◇経穴にはそれぞれに効能があるが,この効能は静止的なものである。臨床上,経穴の効能を発揮させたい場合は,補瀉などの手技を施すことにより完成される。すなわち,補瀉法が経穴の効能の実現を決定しているのである。そして鍼灸処方の効能は,補瀉などの手技の操作のもとで配穴後の経穴の協同作用が発揮された結果として出現するものである。
◇経穴および経穴の配穴後に起こる双方向性の調整・治療作用は,生体の内在的な機能が健在であるかどうか,生体自身の調節系統が発揮する能力があるかどうかにかかっている。
◇経穴を選穴して処方を組むときは,経穴と処方・処方と証を有機的に結びつけなければならず,各経穴の効能の長所を導き出し,協同作用や補瀉法などによって,しっかりと病機に対応させ,治療効果をあげるようにしなければならない。
◇疾患は,多くの要素が複雑に絡み合い,無数に変化するものである。処方と病機を完全に符合させるためには,法則を明確に理解し,「法を守り,方にこだわってはならない」といわれているように,臨機応変に対応することが重要である。
 李伝岐氏は,鍼灸処方を臨床応用する際には,「鍼灸処方のなかのそれぞれの経穴の効能と,配穴後の協同作用を把握し,同処方の意義・効能・治証および対応する病機と治則を明確に把握していれば,自由自在に鍼灸処方を臨床応用することができるようになる。それぞれの経穴には多くの効能があり,異なる処方において異なる効能と効用を発揮するので,経穴の効能を全面的に把握しておくことは,臨床にあたっては非常に重要となる」と重要なアドバイスを提示している。
 最後に本書のみでなく,この中医鍼灸3部作を座右の書として読者諸氏が日々の臨床に励まれ,そして日々の臨床で高い成果をあげられることを心より期待し監訳者のあとがきとする。
 

兵頭 明
2021年8月吉日


 
 

『漢方診療のための中医臨床講義』あとがき

[ 中医学 ]

 
あとがき
 
 
 徳島の小さな田舎町の薬屋に生まれて,放課後は日没まで校庭や山や川や田んぼで遊び回っていました。それでも小学校から大学までまた医師になってからも,ずっと良い師に恵まれ続けたなと今思い返します。漢方が実際に医療に使えることを現場で示し眼を開かせて下さったのは,医師になって3年目に内科医として赴任した徳島県立海部病院の山野利尚院長先生でした。その後,県内の僻地診療所赴任中も漢方と鍼灸治療を日常診療に取り入れその有用性を確信し,自治医科大学卒後9年間の義務年限終了後は三浦於菟先生の御高配により千駄木の日本医科大学附属病院で斉藤輝男先生の外来に付かせて頂く機会を得ました。中医学を専門とすることを志した最初の段階で,斉藤先生のオーソドックスで美しい中医学の診療スタイルを直接学べたことは最大の幸運でした。日本医科大学では渡邊裕先生の鍼治療の外来でも学ばせて頂き,先生の医学を超えた幅広い教養にまで感銘を受けました。その6年後,縁あって京都の高雄病院で江部洋一郎先生のもと,経方医学を学びながら江部先生の外来に付かせて頂く機会を得ました。江部先生は斉藤先生と同様に学ぼうとする者に心温かく,時には私の手をとって脈の取り方を指導して下さいました。今の自分があるのはこれら恩師の先生方,またさまざまな交流の機会のあった日中の専門家の方々との御縁のお蔭です。
 今までご指導下さった恩師に報いる一番の方法は,次の世代を担う若手医師への技能の伝承だとずっと思っていました。しかし私は外来では目の前の患者の診療で精一杯で研修医に指導する余裕が無いことも自覚していました。これでは私を快く診療に付かせ病態や処方の意味のコメントまでして御指導下さった恩師に後ろめたい気がして,やるべきことをやらずにいることが心に引っかかっていました。どうやら私は話し言葉よりも書き言葉で伝えることが性分に合っているので,自分の診療を解説付きの症例集として本にまとめて中医学を志す若手医師の一助にしようと思い至りました。受けた恩のほんの一部しかお返しできていませんが,やるべきことを一つやり終えた気持ちです。読者の皆様には,筆者の診療を頭の中で追体験して頂いて,ここは違うとかこうした方がより良いとかいった考えを思い浮かべながら,筆者を超えて中医学の漢方診療の高みを目指して頂ければこれに勝る喜びはありません。
 最後に,時とともに変化する市場流通生薬に関する記述について大阪の栃本天海堂の西谷真理様,宮嶋雅也様にご校閲をお願いしました。衷心より御礼申し上げます。
 

令和三年一月
篠原 明徳


 
 

『臨床に役立つ 奇経八脈の使い方』おわりに

[ 鍼灸 ]

 
おわりに
 
 
 私には,日本の鍼灸界に4人の恩師がいます。4人とも,名前を挙げれば皆さんが知っている鍼灸の大家の方たちです。4人の恩師に共通しているのは,臨床家ではあるが学究肌でいつも勉強をなさっていたということと,とても優しい方たちであったということです。
 鍼灸の初手を教えてくださった恩師の勉強会で,恩師が「私の勉強会に参加した人は,1冊は鍼灸の本を書き上げてください」と言われました。その言葉を胸に40年近く,鍼灸の臨床と教育に携わってきました。幸いにも,この恩師との約束は,私のオリジナル治療である『火龍筒連続吸角療法』(緑書房,2015年)を書籍として出版することで果たせました。当時,自分の書籍が出版される喜びと同時に思い至ったのが,他の恩師にも執筆した本を1冊ずつ捧げようということでした。
 そしてようやく,東京医療専門学校教員養成科時代に奇経治療を教えてくださった,故・山下詢先生の御霊にこの書籍を捧げることができます。「はじめに」でも書きましたが,山下詢先生が,何も知らない私を奇経治療の世界へ導いてくださったのです。そのお優しい人柄と口調は,今でも私の人生の規範となっています。その先生への恩返しとして,先生の奇経学の研究成果を中医学的観点より発展させたこの書籍が出版されることは,このうえない喜びです。
 最初に執筆した書籍では,文章を書く喜びと方法を学ばせていただきました。本を執筆するということは,一般的な論文の何十倍もの文字数を書かなくてはならないということで,とてもたいへんな作業でした。幸い,私は脚本家になりたかった母からの遺伝子を受け継いでいるようで,文章を書き慣れてくると苦痛ではなく,逆に喜びを感じるほどになりました。
 今回,東洋学術出版社で出版していただけるこの書籍では,本作りのたいへんさを学ばせていただきました。私の頭の中には,原稿を完成させることがイコール出版というような素人考えがあったのです。しかし,書籍を作るということは原稿が完成したところからがスタートなのだと,今回は学習いたしました。書籍ができるまでには,原稿の修正と加筆・校正・図版のチェックなど,行わなければならない作業がたくさんあると知りました。それも何度も繰り返すたいへんな作業なのです。この作業のなかでとても驚かされたのは,原稿を書いた私でさえ気付かない間違いを,編集者の方が指摘してくださるということでした。よく「編集者が最初の読者」といわれていますが,これは本当のことなのだと実感しました。また,私は涙が出るほど(もともと涙腺が弱いため,実際に泣いたのですが)嬉しかったです。これまで,中医学の資料をたくさん作って後進に配布してきましたが,資料を喜んではくれるのですが,資料に対する質問やディスカッションをしてくる学生がとても少なく,残念な気持でいっぱいだったからです。
 書籍というものは編集者の方と一緒に作り上げるものだと学びました。今回,私を担当してくださった森由紀さんの力により,この書籍は数段優れたものとなりました。森さんは絶えず読者の立場から,文章をわかりやすく修正するように導いてくれました。また,加筆する私に気を遣い,優しい言葉をかけ続けてくださいました。本当に感謝しています。
 最後に,紙媒体の出版物の売り上げが伸びずに出版不況といわれる今日,持ち込んだ原稿を出版すると英断していただいた井ノ上匠編集長に感謝を申し上げます。近年,鍼灸に関する出版物は,写真集かと思われるような内容の薄いものや出来合いの内容を貼り付けたようなオリジナル性に乏しい本ばかりです。これでは,初学者ならいざ知らず,ベテランの治療家になればなるほど購買意欲はなくなってしまいます。井ノ上編集長と面談した際,「この書籍を起爆剤に奇経治療の高波を起こしましょう」と言ってくださいました。井ノ上編集長の志の高さに心打たれるとともに,私は自分の本の出版のことしか考えていなかったので,赤面したことを覚えています。売れるものしか出版しないという出版社もあるなかで,井ノ上編集長は中医学や鍼灸の発展のことを念頭に私の原稿を採用してくれたのです。
 この書籍は山下詢先生と私の研鑚努力の結晶に,東洋学術出版社の編集長と編集者の皆さんの高邁な精神が宿って生まれたものです。この書籍を読まれた方々により,日本の鍼灸界に奇経治療の高波が起こることを切に願ってやみません。
 

2020年8月吉日
高野耕造


 
 

『マンガ 睡眠と漢方で治す婦人科疾患』 あとがき

[ 中医学 ]

 
あとがき


 婦人科疾患を治療する時、中医学の本で証による分類を見ながら、処方を真似して出してみて、うまくいけば喜び、うまくいかなければどうして効かないのか、考えながら診療を続けてきました。『中医 女科証治』(銭伯煊編、森永哲夫訳・編、鐘薬会叢書部)、『症例から学ぶ中医婦人科 名医・朱小南の経験』(朱小南著、柴﨑瑛子訳、東洋学術出版社)、「中医婦科臨床手冊」(人民衛生出版社)などが座右の書です。
 漢方を始めた頃は処方の内容にばかり気をとられて、患者さんの生活スタイルに注目する余裕がなかったのですが、診療を続けるうちに、同じ証、同じ年齢の患者さんに、同じ処方を出しても効きが違うのは、患者さんの先天的な体質だけでなく、今の生活が反映した後天的な体質が関係していると気づくようになりました。
 月経があるのが婦人の特徴で、出血してはそれを再生産する行為を月の満ち欠けのように繰り返します。出血するので男性より血が不足しがちで、出血とともに気も漏れて減るので、気血の再生産のため男性以上に条件を整えなければなりません。気血は昼間に体を動かして消耗し、夜に食べものを原料に脾(現代医学の胃腸)が再生産して、次の日に使えるよう準備しています。睡眠が少ないと、「作る時間」が少ないため、当然気血ともに減っていくのですが、ここを直さずに薬で気血の生産スピードを上げても、治療効果に限界があります。逆に「作る時間」である睡眠を増やし、薬で作るスピードを上げれば、必ず気血は増え、その後薬は要らなくなります。
 理屈は簡単なのですが、実際は処方の工夫をするだけで、睡眠を具体的にどれだけ増やすか指導している医師や薬剤師はあまりいないようです。処方は素晴らしいのに、基本の睡眠時間の修正をしないために、治療効果を落としたり、薬を止めると元に戻ってしまったりするケースを見るのは、非常にもったいなく残念です。
 マンガの中で描いているように、睡眠は副作用がなく、費用もタダです。睡眠時間の指導をすれば、処方に自信がある方はより早く治癒させることができますし、処方にまだあまり自信がない方でも治療効果は必ず上がります。特に、婦人科三大処方といわれる当帰芍薬散[23番]、加味逍遙散[24番]、桂枝茯苓丸[25番]のエキス剤のみご存知の産婦人科の先生方は、他のエキス剤も難しくありませんので、睡眠指導をしながら、ぜひ使ってみて効果を実感していただきたいと思います。
 私自身は現代医学と漢方を特に区別して考えていません。よく効き、副作用が少なく、費用も安い薬を先に使い、それがダメなら次の選択肢に移るようにしています。高血圧の治療で漢方を希望する患者さんには、現代医学の薬の方が絶対によいと勧め、「えーっ?」と言われることもしょっちゅうです。漢方にあまりなじみのない先生方も、漢方は難しいとか、わからなくて怖いとか思わずに、本書を参考に使ってみていただきたいと思います。
 「怖くない、ほら、怖くない」と誘っていると、某アニメのヒロインみたいですが、漢方は決して怪しいものではありません。もっとも、私のクリニックには〇蟲や巨〇兵のフィギュアが飾ってあり、それなりに怪しく感じておられる患者さんがおられるかもしれませんが……。
 最後に、私に漢方を指導してくださった甄立学先生、マンガを描いて下さった馬場民雄先生、出版に尽力して下さった東洋学術出版社の井ノ上匠社長、麻生修子さん、そして昨年秋に次女を産んでくれた妻と、乳児を持つ女性がどれだけ大変かあらためて教えてくれた生後4か月の次女に心から感謝いたします。ありがとうございました。因みに、この「あとがき」も、次女のオムツを換えた後に書いています……。


二〇二〇年二月吉日 三宅 和久




『[改訂版]中医基本用語辞典』あとがき

[ 辞典 ]

 
あとがき
 
 
 日本では中医学を勉強する方々の数が年々増えています。中医学を学習するうえで,まずぶつかる問題は「専門用語を理解することが難しい」という点でしょう。それを解決するためには,日本の事情を十分に考慮しながら,なるべくわかりやすい言葉で,専門用語を解説することが必要です。このような要望にもとづいて,本辞典を作る企画が生まれました。
 しかし,実際に始めてみると,思うほど順調に進まないことがよくわかりました。中医学用語はたいへん幅広く,また難解で抽象的なものが多いため,すべてを取り入れて説明することはわれわれの力では不可能なことでした。したがって,できるだけよく使われる基本用語にしぼって作業を進めました。進行中にもさまざまな困難を乗り越えながら,何回も何回も見直し,修正を重ねている間に,あっという間に十数年の歳月が過ぎていました。ようやく出版にいたることになり,少しでもこの辞書が読者の皆様のお役に立つものになれば,何よりも嬉しいことだと思っております。
 本書の翻訳にあたっては,多くの翻訳者の方々にご尽力いただきました。また,東洋学術出版社の山本勝曠社長をはじめ,渡邊賢一,坂井由美の皆様から,貴重なご意見を数多くいただきました。多くの方々のご協力に対して,深く感謝を述べさせていただきます。
 われわれの力不足により,誤った解釈や説明不十分な点があることは避けられないと思います。ともに勉強しながら進歩していくために,ぜひ中医学同志の皆様からご批判とご指導をいただければありがたいと思います。
 

2006年5月吉日 
劉 桂平 


 

 

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