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▼書籍のご案内-序文

『[改訂版]中医基本用語辞典』序文

[ 辞典 ]

 
序文
 
 
 中国医薬学は,歴史の大河のなかを数千年にわたって航行してきた。その独特の理論体系と卓越した治療効果によって,現在にいたるまで世に輝かしい航跡を残している。そして,現代医学がきわめて発達している今日においても,医療保健活動の1つとして大きな役割を担っている。中国医薬学の導入は中国国内に留まらず,世界各国に広がり,世界中の人々に珍重され,中医学を学ぼうとする風潮は今まさに高まりつつある。
 私は30年余りにわたって,国内外で中医学の教学および臨床に携わってきた。その経験のなかで感じたのは,正確に中医学用語を理解することが,中医学を習得・運用する鍵であり,前提であるということである。そこで,伝統医学を広く発揚し,国内外の中医初学者の切実なる要望に応えるため,本書を出版すべく,中医学の教授および助教授・講師によって,『中医基本用語辞典』編集チームを結成した。
 編集過程では,まず使用頻度の高さを重視し,代表的な用語を抽出し,項目の選定を行った。解説文は可能な限り正確に,わかりやすくし,比喩や豊富な図表を用いている。さらに見出し項目に含まれる難解な字については簡単な解釈を加えるようにしている。また,特に互いに関連する項目の鑑別・比較には注意を払い,その相違点を明らかにし,理解の助けとしている。本書は,基礎理論の専門家や中医初学者である各国留学生の意見を何度も聴取し,内容を吟味したうえで脱稿したものである。より多くの中医愛好者および志ある中医初学者の,良き友・良き師になることを期待している。また,本書の至らざる点については,大いにご指摘・ご指導いただきたい。それにより,より良き改訂が行われることであろう。私は中医初学者が一心に研鑽し,深く臨床の実践に身を投じ,中医学の神髄に触れ,伝統医学にいっそうの輝きを与え,人類に貢献することを望んでいる。
 本書刊行の機を迎えて,編集チームの若き中医学者諸君,東洋学術出版社の山本社長,日本語訳に取り組んでくださった専門家諸氏に対しては,謹んでその艱難辛苦に深い謝意を表したい。
 

天津中医薬研究院附属医院 名誉院長
中国中医薬管理局重点学科学術 主任教授
高 金亮 

 

『中国伝統医学による食材効能大事典』凡例

[ 食養・養生 ]

 
凡例
 
 
1.章区分は,学問的な分類を避け,『食品成分表』などが用いる一般的な分類に従い,各食材は五十音順に配列した。
2.食材名は,一般的な呼称に従い,別称は( )で,別種は【 】で表示している。
3.学名は,APG分類に従った。
4.中国名は,中国の簡体字を日本の漢字に置き換えている。
5.出典の詳細は,巻末の参考文献一覧に示す。
6.薬性や帰経は,『中薬大辞典』などの現代文献が確定したものに従い,歴代の本草書が示すその他の見解は( )内に記した。
7.種類は,食材の理解を深める目的で,原産地・特徴・伝来時期・使用例など,その詳細を記した。
8.効能は,「解表」「清熱」「瀉下」「祛風湿」「燥湿」「化痰」「散寒」「理気」「消食」「殺虫」「活血」「補虚」「収渋」「解毒」に大分類し,各効能をそれぞれに帰属させて再分類した。
9.効能に下線のあるものは,『中薬大辞典』などが示す代表効能である。
10.副次的な効能は( )内に示した。
11.「病」は,症状や病名を示す。
12.出典に実例のある症状や病名は太字で記した。
13.代表実例は,出典が示す各実例の中から再現しやすいものを選んだ。
14.付録は,難解な中医学用語を一般読者にわかりやすく解説したものである。
 

『中国伝統医学による食材効能大事典』序

[ 食養・養生 ]

 

 
 
 健康寿命が取りざたされている昨今,食と健康に対する関心はますます高まっているように思われるが,食によって病気を予防し,健康を維持するためには,食材効能に関する豊富な知識と適切な運用が不可欠であることはいうまでもない。中国における「食治」の実践は周代に遡るといわれ,永い年月を通して食材効能に関する知識と運用の経験が数多くの本草書の中に蓄積されてきた。中華人民共和国建国後も『食物中薬与便方』などの良書が多数出版され,「食治」に関する豊富な知識が提供されている。これらはわれわれにとっても有意義なものであり,そのいくつかは日本語に翻訳されてすでに出版されているが,そこに掲載されている食材はごく限られたものであって,今日の多彩な食事情に対応してはいなかった。「食治」を日本に根付かせるためには,われわれ日本人が日常食している食材を網羅する総合的な事典がどうしても必要である。そのように思い立って参考資料を集め始めたのだが,十数年を経てここにようやく本書を上梓することができ感慨深い。
 われわれ日本人が常食としている食材は,植物類470種,魚介類250種,畜禽類他120種余りであり,そのうち本書は,植物類455種,魚介類156種,畜禽類他102種を収録する。植物は『中薬大辞典』を,動物は『動物本草』を基礎資料とし,これらに記載されないものはさまざまな文献を渉猟して補い,効能や用例を多数補塡した。植物類や畜禽類に関してはほぼ満足できるものとなったが,海産魚介類はかなりの品目を欠く結果となった。これは四方を海に囲まれた日本と大陸を領有する中国との相違であり,海洋生物に関する研究の進展を今後に待つしかあるまい。
 巻末の参考文献一覧にある通り,本書は主に中国文献に基づいたものであるが,中国文献の多くは,食材が有する効能と適応例を個々に一括表記しており,内服と外用の区別も曖昧であった。そこで本書は効能と適応例を対応させて記載し,内服と外用の違いを明らかにすべく努めたが,異なる見解も多々あろうかと思う。忌憚のないご意見がいただければ幸いである。
 最後に,東洋学術出版社の井ノ上匠氏,ならびに度重なる改変作業にお付き合いくださった編集部の皆さまに衷心よりの謝意を申し述べ,菌類に関して助言をいただいた松井英幸,石垣芳久両氏に御礼申し上げて序文としたい。
 

令和二年霜月 山中一男

 

『経脈病候の針灸治療』推薦の辞

[ 鍼灸 ]

 
推薦の辞
 
 
 張吉主編,人民衛生出版社刊『経脈病候弁証与針灸論治』の邦訳書『経脈病候の針灸治療』(鈴木達也訳)がこのたび,東洋学術出版社からようやく出版された。
 日本の鍼灸界は経穴を帰属させている経絡理論に対し,経脈流注も経絡の病候もこれまでほとんど無視してきた。もし,日本の鍼灸師が中国医学に則った鍼灸治療を志すならば,経絡流注の全貌を明らかにし,十二経脈と奇経八脈に投影され同時に経脈によって概括される人体の全臓腑・器官・組織の病候を学ばなければならないのだが,日本で唯一中国医学を教えているとされる鍼灸学校には「経絡学」の講座がなく,またその講座の教科書とすべき経絡流注書も経絡病候書も存在しないのが実情である。したがって当然,鍼灸師になっても経穴主治を特化させた特効穴にしがみつくほかになく,巷で目にする東洋医学にもとづく鍼灸書と称するものも,ほとんどはツボ療法の類である。
 日本で「経絡学」を確立するためには,なによりもまずテキストとなる経絡流注と経絡病候の書を必要とする。十四経の経絡流注に関しては,『古典から学ぶ経絡の流れ』(拙著)が2017年8月,東洋学術出版社から出版され,十四経流注の全貌を学べるようになったが,中国歴代の鍼灸治療経験を集約した経絡の病候書に関しては,その内容が膨大なこともあり,適当な書がなかなか見つからなかった。
 2006年6月に出版された『経脈病候弁証与針灸論治』を一読すると,経絡の病候に対する記述の系統性と全体性に目を見張った。同書は十二正経と奇経八脈に対し①経脈の経気の変動が臓腑に及ぼす臓腑の病証,②経脈の体表循行部位の病候,③その経脈と関連する臓腑・組織・器官の病候,④その経脈の経筋と絡脈の病候,に項目分類し,それぞれの分類項目にカテゴライズされた病症に対し,寒熱虚実の四綱などで弁証を行っている(奇経八脈は①を欠く)。例えば心経の変動が臓腑に及んだ①の場合,心痛・神志病・血症の3病症を挙げ,心痛と血症では,虚実寒熱で証を分け,神志病では癲狂と痴呆の2つの病症に分け,癲狂はさらに陰証と陽証の2証で,それぞれに【証候分析】【治法】【選穴】【選穴解説】を行っている。
 同書の筆者は,『内経』『鍼灸甲乙経』や『千金要方』『鍼灸大成』などは言うに及ばず,『百症賦』といった数多くの鍼灸歌賦にまで目を通し,歴代の医学文献に散在する種々の臓腑経絡病候や経穴主治を渉猟し,おびただしい資料にもとづき同書を書き上げている。
 同書は日本で「経絡学」を確立するうえで必要な書と考え,その邦訳を東洋学術出版社に強く求めた。しかし,多岐にわたる医学古典を引用して書かれた膨大な内容を正確に翻訳するには,中医鍼灸学に精通し,優れた中国語の翻訳能力を有する人物が,相当の時間と労力を傾けなければ完成しないことは必定である。
 幸い鍼灸師で中医師の資格を有する鈴木達也先生がお引き受けくださり,長い年月をかけて本書の翻訳に取り組み,今日,ようやく出版の運びとなったのはうれしい限りである。鈴木先生の翻訳の精度と完成度は,原書が引用した歴代の医学文献の扱い方に如実に示されている。例えば原書では引用文の後にその文献名を示しているだけのことが多いのだが,訳書では引用文献の引用箇所の章篇を付記している。さらに各経脈の文末の訳注では,原書が引用した古典の一文に対し,単にその語句説明に留まらず,必ず原典に当たって原書の引用に誤記が有ればその誤記を正して翻訳したことを説明している。
 われわれは日本において,「経絡の流注」「経絡の病候」「経絡の作用」「経絡の科学的分析」などから成る「経絡学」を確立し,湯液の弁証論治とは異なる鍼灸独自の経絡に根ざした弁証施治の体系を新たに構築していかなければならない。本書もそのための必須の一書となるであろう。
 

東京中医鍼灸センター
浅川 要

 

『疾患・症状別 漢方治療 慢性疼痛』巻頭言

[ 中医学 ][ 鍼灸 ]



巻頭言




渕野辺総合病院 病院長
世良田 和幸
 
 
 「痛み」は,古来より人間にとって辛く,切ない症状の1つであったと考えられます。身体のどこかの痛みで苦しんだ経験のない人は皆無といってよいでしょう。西洋でも,東洋でも,痛みの緩和を目的とした治療法は,古くから考えられてきました。エジプト時代にはすでにケシの実の鎮痛効果は知られており,中国で紀元前3世紀に書かれたといわれている『黄帝内経(こうていだいけい)』にも,すでに「痛み」に対する記載があります。その『素問(そもん)』挙痛論篇の中に,「痛み」に対する病因,病機,病位,証候,予後などが記載されており,「痛み」はその当時から治療の優先事項だったことがうかがわれます。また,3世紀頃に著されたといわれる『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』に記載されている113処方のうち35処方が,「痛み」に関するものであることからも,医学は「痛み」との戦いの歴史であったといっても過言ではありません。
 西洋医学は,東洋医学とは基本的に「痛み」に対する考え方が異なっており,病理学的な視点にも相違が見られます。例えば,東洋医学では主として,気・血・水の流れを「痛み」治療の根幹とするのに対し,西洋医学的治療法では,組織や神経の病理学的な見地から,消炎鎮痛薬の開発や手術療法,ペインクリニックなどを主体として治療を行っています。また,急性期の痛みの治療として,東洋医学には鍼灸があるものの,近年の西洋医学では,さまざまな新しい治療法が確立するなど飛躍的な進歩を遂げました。
 しかし,現代西洋医学は,急性の「痛み」を有する器質的疾患の治療には対処できますが,「痛み」が慢性的に持続し,その病因が明らかでない「痛み」に対しては,治療に難渋することがしばしばあります。また,鎮痛薬は痛みそのものを緩和する作用はあっても痛みの原因を治療する薬ではありません。一方,漢方治療は,西洋医学の弱点を補う意味でも意義のある治療法です。漢方治療は,人間のホメオスターシスを改善し,QOLを向上させることで疼痛閾値を上昇させる働きがあると考えられており,痛みの原因となる身体の
中の病態を是正し,結果的に痛みを楽にする作用があるのです。もちろん,漢方はオールマイティーではありませんが,慢性疼痛に対する治療に関しては,西洋医学よりも分があると思っています。
 今回の企画は,慢性疼痛に対する症状・疾患別の漢方治療について,現在日本において「痛み」の治療を実践されている各診療科の先生方に,中医学・日本漢方・鍼灸の立場から,総論と症例提示をしていただきました。日本の疼痛漢方治療の第一人者である平田道彦先生へのインタビューでは,漢方薬との出会いから今日までの苦労話,漢方による疼痛治療に始まり,今では「痛み」以外の患者も漢方治療を求めて来院される話など漢方の妙味を話されています。一方,滋賀医科大学の福井 聖先生のインタビューでは,学内の学際
的痛み治療センターでの慢性疼痛の臨床と研究について言及されています。難治性の「痛み」の西洋医学的治療には,医師以外にも看護師や理学療法士,臨床心理士など多職種が連携し,個々に合わせたオーダーメイド的な治療法を検討する必要があると説いています。そして,慢性疼痛治療には,西洋医学的な治療法とともに,漢方や鍼灸を活用した補完・代替療法を加えた統合医療の必要性を強調されています。
 また,今回は平田先生が師と仰ぐ,日本の漢方治療の第一人者である織部和宏先生に,古典や口訣の解説をしていただきました。中医学の立場からは,入江祥史先生に漢方・中医学における「痛み」の病態とそれぞれの病態における治療法を解説いただきました。そして,がん治療の日本の草分け的医師の一人である帯津良一先生にもご登場いただき,ご自身が実践されている「攻めの養生」について綴っていただきました。
 個々の先生方の内容は紙面の都合で割愛させていただきますが,ご登場いただいた先生方の「痛み」,とくに慢性疼痛の治療に対する経験と心意気が満ちあふれた内容となっています。本書が,臨床現場はもちろん,慢性疼痛に悩む先生方の座右の書となり,バイブル的存在になればと心から願っています。そして,慢性疼痛治療における「漢方ライフ」を実践していただけければ幸いです。
 
 

『「証」の診方・治し方2 -実例によるトレーニングと解説-』この本の使い方

[ 中医学 ][ 鍼灸 ]



この本の使い方



 前書『「証」の診方・治し方 ―実例によるトレーニングと解説―』およびその続篇となる本書は,呈示された患者情報から自分で証を導いて処方・配穴を考え,その後解説を読むという流れで弁証論治のトレーニングを行うことをおもな目的としている。
 また,症例は実際の臨床例であり,初診から治癒までの経過が記されているため,弁証論治のトレーニング用としてだけでなく,症例集としての活用もできる。


 序章では,弁証論治のなかの特に「論治」の部分について,高橋楊子先生(湯液治療)と呉澤森先生(鍼灸治療)によるポイントが述べられている。弁証論治を行ううえでの基本となるものが示されているため,症例を解く前にぜひ一読してほしい。


 第1章から第6章は,部位別の症例とその解説である。便宜上,症例は章を分けて通し番号をつけているが,どこから読み進めてもよい。
 症例はそれぞれ最初の頁に弁証に必要な情報が示されている。次頁からは鍼灸および湯液の弁証論治解説部分になっているため,まずは頁をめくらずに自分で症例を分析し,弁証を立てることをおすすめしたい。続く解説部分では鍼灸・湯液2つの面からの治療法・考え方の解説がある。特に弁証については鍼灸・湯液の枠にとらわれず両方の解説を参考にできる。また,弁証過程において陥りやすい間違いなどが示されており,多くのヒントが詰まっている。


 それぞれの症例は以下のような構成になっている。
◆症例呈示―年齢・性別・主訴・既往歴・現病歴・現症・四診の結果など,証を導くために必要な患者情報の呈示。
◆治療へのアプローチ―呉先生(鍼灸)と高橋先生(湯液)による解説。まず症例を呈示した先生による解説があり,引き続き補完する形でもう一方の先生による解説がある。
弁証:弁証,治法,具体的な処方あるいは選穴・手技,解説など。
治療経過:実際の治療の経過説明。
症例分析:症例を分析する際の考え方や,チャート式の病因病機図,最後には「弁証のポイント」がある。
アドバイス:弁証する際に陥りやすい間違いの鑑別点や,実践的で臨床に役立つアドバイスなど。


*本書は,『中医臨床』の連載コーナー「弁証論治トレーニング」の一部を単行本化したものである。
 誌上では出題・読者回答・解説の形であったが,単行本化にあたって読者回答は割愛した。

『チャート式皮膚疾患の漢方治療』 執筆者

[ 中医学 ]

 
【執筆者】 五十音順
内海 康生(内海皮フ科医院)
大竹 直樹(海岸通り皮ふ科)
黒川 晃夫(大阪医科大学附属病院皮膚科)
武市 牧子(三愛病院総合診療科・外科)
田邊 惠美子(旭町診療所)
橋本 喜夫(JA旭川厚生病院皮膚科)
森原 潔(もりはら皮ふ科クリニック)
栁原 茂人(近畿大学医学部皮膚科学教室)
吉木 伸子(よしき皮膚科クリニック銀座)
 
 
 『漢方と診療』誌で本企画をスタートするにあたっては,武市牧子先生が2005年に発表された,フローチャートを用いた論文「痤瘡に対する漢方薬の実践的投与」(『漢方医学』)を参考にさせていただきました。
 ご多忙な中,本誌の企画趣旨にご理解をいただき,連載時にご執筆くださった先生方,また本書制作に際し,追加執筆を快くお引き受けくださった先生方に,心より御礼を申し上げます。
 

2019年 春
編集部

『チャート式皮膚疾患の漢方治療』 本書の特徴

[ 中医学 ]

 
本書の特徴
 
 本書は,季刊『漢方と診療』誌(小社刊)に連載した「チャート式皮膚疾患の漢方治療」シリーズ(2013~16年掲載)をもとに,単行本にまとめ直したものである。
 本書の特徴は,以下の通りである。
 
●執筆者は,すべて豊富な臨床経験をもつ皮膚科の専門医であり,疾患の基礎概念,標準的な治療法などの解説がなされている。
●取り上げた疾患は,日々の臨床でよく遭遇するものばかりであるが,西洋医学的治療で十分な効果が得られないケースも多く,漢方による治療効果が期待できる疾患を選んでご執筆いただいた。
●単行本化するにあたっては,臨床現場からのニーズが多かった「老人性皮膚瘙痒症」「蕁麻疹」「掌蹠膿庖症」「扁平疣贅・尋常性疣贅(イボ)」「多汗症」の項目を新たに追加した。
●漢方処方の選択は難しいとされているが,フローチャートを用いることによって,4~6剤の基本的な処方の鑑別法を一目で捉えられるようになっている。
●症例紹介では,治療経過を辿ることで処方選択についての理解を深めるとともに,実際の症例写真により皮膚の症状と治療効果が確認できる。
●各疾患における漢方治療の位置づけ,代表的な漢方治療の方法,注意点,効果判定のポイントなどについても詳説されており,漢方の初学者にも理解しやすい。
 
 本書は,皮膚疾患の治療を通じて,漢方医学の基本的な考え方にも触れられるような内容になっている。皮膚科医だけでなく,他科の医師にも漢方入門書として役立てていただける一冊である。
 

『新・針師のお守り―針灸よもやま話―』

[ 鍼灸 ]

 
  まえがき


 『中医臨床』誌二〇一五年三月号(一四〇号)から二〇一八年十二月号(一五五号)まで掲載した「近況雑感」が本書に収録されている内容である。
 本書は章篇としては十五篇で、『針師のお守り』の四十一篇、『続・針師のお守り』の二十六篇に比べるといささか少ないのだが、表を多用した篇がいくつもあり、また個々の篇の文字数も前二冊に比べるとかなり増えており、分量的には前二冊とさして変わらないので、このへんで一冊にまとめておこうと思い立ったものである。
 各篇の表には長いものも多く、各篇の文中や文末に入れると読者が読みにくいのではと考え、一部を除き、附表として、巻末に横組みですべてまとめた。
 したがって、本文は縦書き、表は横組みとなり、巻末の附表は後ろから前に向かって見ていく形になっている。
 本書の特色は「東京中医鍼灸センター」、「お腹の治療」、「ビワの葉灸」、「肩の散鍼(単刺)」、「下の法」などの篇が盛り込まれている点であろう。なぜなら、これらの篇には、自分自身が長年多くの病気と向き合ってきたなかから創り出した鍼灸療法の考え方とその実際の治療内容が、具体的に示されているからである。
 ここで書かれた通りの鍼灸治療が、東京中医鍼灸センターでは現在、日々行われているので、本書を手に取られた鍼灸師、とりわけ鍼灸学校を卒業されて日の浅い方々が、ご自分の鍼灸治療において何らかのヒントを本書から得られるならば、本書を出版した目的はなかば達成されたといっていいであろう。
 なお誤解されないように一言、付け加えておくが、「近況雑感」もしくはそれと同様の雑文は、何らかの理由で筆を折らざるを得なくなるまでは、これからも『中医臨床』誌上に書き続けるつもりでいる。そして、もし筆を下した時点でそれがある程度のまとまった文量になっていれば、『完・針師のお守り』とでも題して、世に出そうと考えている。
 本書の出版に際しては、附表が多いことを理由に、東洋学術出版社の井ノ上編集長にかなり強引に成書化をお願いしてしまった。この紙面を借りて改めてお礼申し上げる。
 
 

二〇一八年十二月 東京猿楽町の地にて

浅川 要

実践東洋医学[第3巻 臓腑理論篇] 本書を読むにあたって

[ 中医学 ]

 
本書を読むにあたって
 
 本書は,『実践東洋医学』全3巻シリーズの第3巻にあたる。本シリーズは,東洋医学の考え方にもとづく病気の見方・考え方を平易に解説したもので,チャート図や表を豊富に収載して視覚的に理解を助ける工夫をしたほか,適宜,症例を織り交ぜながら東洋医学の病態理論・方剤の解説を心がけた点に特長がある。
 第3巻では,まず臓腑一般の生理作用と病態について解説した後,肝・心・脾胃・肺・腎の各臓の生理と病態を紹介し,さらに臓腑合併の病態として,肝と脾胃,肝と腎,心と肺,心と脾,心と肝,心と腎,脾と腎,肺と肝,肺と腎を取り上げる。最後に,外感病の治療理論である傷寒理論と温病理論について概説を加えた。
 
【記号・符号の意味】
 † 巻末の「用語解説」に解説がある用語を示す。
 注 注釈を示し,符号を記した節の最後に解説がある。
 ※ 注釈を示し,記号のすぐ近くに解説がある。
 POINT 著者が特にポイントになると考えた箇所。
 原文 古典の引用。
 * 医療用漢方製剤にない方剤を示す。巻末に組成を示している。
 
【第1巻の章立て】
 第1章 総論
 第2章 東洋医学の診断方法
 第3章 主要症状の診断
      Ⅰ 全身症状
      Ⅱ 疼痛症状
      Ⅲ 月経異常
 
【第2巻の章立て】
 第1章 生理理論の基礎
 第2章 病態理論の基礎1
 第3章 病態理論の基礎2
 第4章 治療理論
 

 

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